町で評判の若い巡査を、制服を着崩したまま部屋で躾けて録画した話

警察官・制服・変態堕ち。町で評判の真面目な若い巡査を、制帽もネクタイも着崩したまま部屋に上げ、シャッター音と録画ランプで退路を断っていく。「脱ぐな、そのままが一番いい」と命じ、羞恥が快感へ直結する回路を躾ける一晩。崩す側の余裕で書いた、若い警官が制服のまま「言わされる」別人になるまでの不可逆の夜を、撮影と命令の積み重ねで描く長編。

濃紺の警察官制服を着てネクタイを緩めた男性の胸元

「脱ぐな。制帽もそのままだ。お前はそういう格好のままで一番いい顔をする」

ベルトに親指をかけて立ち上がろうとした若い巡査の手を、俺は上から押さえた。彼の喉仏が、ごくりと一回だけ大きく動いた。それで十分だった。逃げ道は、今しがた俺の言葉が静かに塞いだ。

赤羽くん、二十四歳。うちのアパートのすぐ下にある交番に、半年前に配属されてきた若い巡査だ。町の評判はやたらと良かった。挨拶がいい、自転車の鍵かけ指導が丁寧、迷子のばあさんを家まで送る——商店街の婦人会が「最近の若い人にしては感心ね」と噂するような、絵に描いたような好青年。制服の折り目はいつも真っ直ぐで、帽子のつばの角度すら几帳面だった。襟元は一分の隙もなくきっちり締まり、階級章の銀が、いつも同じ角度で光を返した。

俺がその几帳面さに目をつけたのは、職質がきっかけだった。深夜、ゴミ出しの時間を間違えた俺に、彼は教科書通りの口調で声をかけてきた。「こんな時間にどちらへ」。その生真面目な目つきの奥に、ほんの一瞬、こちらを値踏みするような揺らぎを見た気がした。立派な仮面ほど、剥がしたときの落差がでかい。きっちり折られた制服ほど、皺が寄ったときに目立つ。

二度三度と立ち話をするうち、彼は俺の部屋でお茶を飲むようになった。非番の夜。制服のまま「少しだけ」と上がり込む。律儀な彼は、上司に「住民との対話も仕事のうち」と本気で報告するつもりだったのかもしれない。だが律儀さというのは、崩しにかかる側からすれば、ただの長い助走でしかない。彼が几帳面に靴を揃えて上がるたび、俺は内心で一段ずつ階段を数えていた。

本人も、なぜ自分が毎度この部屋まで上がってくるのか、はっきり説明はできていなかったはずだ。住民との対話。地域の声を聞くこと。建て前の単語をいくつ並べても、非番でわざわざ制服のまま玄関を跨ぐ理由としては、どれも一段足りない。それを彼自身がうっすら感じていたことは、何度目かの夜、靴を脱ぐ前のほんの数秒、玄関で動きが止まったあの間で分かった。誰に咎められる前に、いつも自分で何かを言いくるめてから上がる。几帳面な男は、その自分への言いくるめの分だけ、確実に俺の側へ傾いていた。

今夜、俺はその助走に終止符を打つことにした。


「赤羽くん。普段、商店街でどんな顔して立ってる」

「……どんな、と言われても」

「真面目で通ってるんだろ。婦人会のアイドルだ。鍵かけてくださいねー、って」

茶化すように真似てやると、制帽の下で彼の耳がじわりと赤くなった。からかわれることに慣れていない。叱る側に立つことには慣れていても、自分が下に置かれる経験が決定的に足りていない。その不均衡が、彼の体を妙に硬くさせていた。背筋を伸ばして座る姿勢すら、今は鎧のように見えた。

彼自身、その姿勢が鎧であることを、たぶん知っている。職質のときと同じ角度で背を伸ばし、同じ間隔で瞬きをし、同じ強さで膝の上の手を組む。揃えれば揃えるほど、揃えていない部分が際立つことには気付いていない。揃えるほど、剥がれた瞬間の落差が大きくなることにも。鎧というのは、着ている当人が一番その重さを知っていて、けれど脱ぎ方を教わっていない種類の防具だ。

俺は何も言わずに、湯飲みを口に運んだ。ぬるくなった茶を一口だけ含んで、ゆっくり飲み下す。換気扇の唸りと、冷蔵庫のかすかな低音だけが、部屋の空気を埋めていた。視線は外さない。ただ見る。一分か、二分か、それくらいの間、俺は黙って彼を見続けた。質問もせず、命令もせず、ただ視線だけを彼の顔の上に置いた。耐えきれずに目を逸らしたのは、当然彼の方だった。逸らした先がテーブルの木目しかないことに気付いて、もう一度視線が宙を彷徨う。彷徨ったまま、戻ってくる場所がない。

気付いていないのは、彼自身だったかもしれない。背筋を伸ばしたままの彼の喉が、もう何度目かの嚥下をしている。唇が薄く乾いて、舌先がそれを湿そうとして、けれど舌の奥まで渇いている。襟元の白いシャツの内側、鎖骨のすぐ下あたりに、一筋、汗が伝っているのが、ワイシャツの薄い生地越しにうっすら透けた。室温は普段と変えていない。エアコンの設定温度すら触っていない。にもかかわらず、彼の頬と耳と首筋だけが、明確に温度を上げていた。鼻先に届く整髪料の清潔な匂いの下から、まだ薄いが、確かに人間の生身の匂いが滲みはじめている。誰にも触れられていないのに、彼の体の方が先に俺を待っていた。

本人にとっては、説明のつかない異変だったろう。何もされていないのに、心臓だけが、走った後のように速く打っている。叱るような言葉も、脅すような言葉もまだ受けていない。なのに、太腿の上で軽く握った拳が、しっとりと汗ばんで、開いて握ってを繰り返す。彼は一度、自分の手のひらを見下ろした。きっと、自分が今どうしてこんなふうに反応しているのか、その回路を本気で探そうとしていたはずだ。だが几帳面な頭は、几帳面な分だけ、目の前で起きていることの説明を見つけられず、ただ「変だ」とだけ思って俯いた。俯いた首筋が、また一段、赤く色を変えた。

俺はテーブルに置いた自分のスマホを、わざと彼によく見える角度に立てかけた。画面の上で、小さな赤い点が灯っている。

「……それなんですか」

「録画してる。お前のいい顔を、あとで何度でも見返せるようにな」

止めろ、と言いかけた彼の唇が、途中で固まった。職務中なら迷わず制止できる男が、ここでは一拍遅れる。その一拍が、彼の中で何かが既に傾いている証拠だった。俺は彼のネクタイに指をかけ、結び目をほんの少しだけ緩めた。脱がせはしない。崩すだけだ。きっちり締まっていた記号を一段だけ乱す——それだけで、几帳面な男は丸裸にされるより羞恥を覚える。結び目が指先で滑り、首元に細い隙間ができた。そこから覗いた喉が、ひくりと上下した。襟の内側に、整髪料の清潔な匂いと、その下に滲みはじめた汗の匂いが、薄く二層になって溜まっていた。

「やめ……困ります、これは」

「困る? 困ってる人間が、こんなに息を浅くするか」

ワイシャツ越しに胸へ手を当てると、心臓が手のひらを押し返すほど速く打っていた。指先で胸の中心を布越しにゆっくり押す。とく、とく、と速い鼓動がそのまま伝わってきた。

「赤羽くん。お前、自分がいまどんな顔してるか分かってるか」

「……っ」

「言ってみろ。鏡はないが、カメラはある。自分で実況してみろ」

「……わかり、ません」

「分からないわけがあるか。顔、赤いだろ。何色だ。言え」

彼は唇を噛んで、しばらく黙った。それから、絞り出すように、「……赤く、なってます」と言った。声に出させた瞬間、彼の全身がびくりと小さく跳ねた。撮られている、という事実が、彼の羞恥を煮詰めていく。見られたくない。なのに見られている。その引き裂かれが、几帳面な体の芯をじわじわと熱くしていくのが、ワイシャツ越しの肌の温度で分かった。布の下で、肌が汗ばみはじめている。


俺はベルトを外させた。自分の手では脱がない。「お前が外せ」と言葉だけで命じる。それが効く。震える指で制服のベルトを緩めていく若い巡査の姿は、自分で自分の砦を明け渡していく敗残兵のようで、見ているこちらの喉が鳴った。急がない。急ぐ必要がない。崩れていく過程の一秒一秒が、今夜のごちそうだ。金具がかちりと外れる音が、やけに大きく部屋に響いた。

ズボンの前を開かせると、布の下はもう形を変えていた。

「……ふうん。困ってるって言った口は、どっちだ」

「ちが……これは、その」

「言い訳はいい。言葉で説明しろ。今、自分の体がどうなってる」

彼はまた黙ろうとした。俺は急かさず、ワイシャツの裾だけをたくし上げ、下着の上から指の腹で頂点を一度だけなぞった。それだけで腰が、こらえきれずに前へ逃げた。逃げたつもりが、俺の手のひらへ自分から押しつける格好になる。口は拒み、体は迎えにいく。几帳面な男の中で、二つの声が真っ向からぶつかって、ぶつかった分だけ熱が上がっていく。布の頂点に、じわりと小さな染みが滲んだ。とぷ、と内側から押し出されるように。

「……硬く、なって、ます」

「もっとちゃんと言え。誰の手で、どうなったか」

「あなたの、手で……硬く、なってます……っ」

「ちゃんとした巡査さんが、客に触られて勃ったのか。それを、いま自分の口で言ったな」

「……っ、はい……言い、ました……」

復唱させると、彼の耳から首筋まで、一気に朱が走った。言葉にすることが、彼にとっては触られること以上の責め苦らしい。自分の口から漏れた告白が、赤いランプに吸い込まれて記録される。その自覚が羞恥をひと回り大きくして、その羞恥がまた股間へ直結していく。恥ずかしいほど感じる——几帳面な体に、その回路が今、確かに通った。火が入れば、あとは勝手に燃え広がる。

下着を引き下ろすと、先端はもう濡れていた。糸を引くほどに。透明なそれが、薄明かりの下できらりと光って、指で持ち上げると、つ、と細く垂れた。裏筋に沿って一筋、根元へ伝っていく。

「真面目な巡査さんが、言われただけでこれか。婦人会が見たら泣くな」

「言わ、ないで……くださ……っ」

「言うさ。何度でも言う。お前はそれで感じるんだから。ほら、また増えた」

指の腹で先端の滲みを掬い、そのまま亀頭にくる、と円を描くように塗り広げると、彼は制帽のつばを深く下げて顔を隠そうとした。だが隠したところで、漏れる息はワイシャツの胸を上下させ、押し殺した呻きが歯の隙間からこぼれ出る。隠そうとする仕草そのものが、感じている証拠を太字にしていく。俺は焦らした。手を止め、また動かし、止め、また動かす。寄せては引く波で、彼の腰が物欲しげに揺れはじめるまで。先端のくびれを指の輪でやわく締めると、太腿の内側がぴくぴくと痙攣した。

「自分で、動いてるぞ。腰」

「ち、違……勝手に……っ」

「勝手にな。お前の体は、お前の言うことを聞かないらしい。どっちが本当のお前だ」

止めると、彼の喉から漏れたのは、間違いなく不満の声だった。続けてほしい——その本音が、几帳面な顔に裏切られて表に出てしまう。彼は自分の声の意味に気づいて、耳まで赤くした。羞恥の上塗りだ。塗るほどに、先端から滲むものが量を増し、とろ、と一筋、会陰のあたりまで濡らしていった。

俺は彼を膝の上に跨がせ、背中から抱え込んだ。ワイシャツの胸を布越しに探り、二つの小さな突起を探り当てて、爪の先で軽く弾く。「ひっ」と短い声が上がる。乳首だった。叱る側の男が、まさかそこで反応するとは自分でも思っていなかったらしい。指先で挟んでゆっくり捏ねると、布の薄い生地越しに、そこだけが硬く尖ってくるのが伝わった。

「ここも、効くのか。真面目な巡査さんは。言え、どこが気持ちいい」

「やっ……そこ、は……っ、む、ね……っ」

「胸が、なんだ。最後まで言え」

「胸が……気持ち、いい……です……っ」

言わせた瞬間、彼の腰がまた前に逃げた。背後から耳元に息を吹き込むと、首筋にぶわっと鳥肌が立つ。汗の匂いが、もう清潔な整髪料の香りを完全に押しのけている。獣じみた、生身の匂い。仮面が溶けて、下から本物が滲み出してくる匂いだ。俺はそれを胸いっぱいに吸い込んで、わざと聞こえるように言った。「いい匂いになってきたな、お前」と。彼は耳まで真っ赤にして首を振った。それでも、膝の上で腰は揺れ続けていた。


俺は彼を床に座らせ、自分のブツを取り出した。命じる言葉は短くていい。

「咥えろ。制帽はそのままだ」

最後の躊躇いが、彼の目の奥で揺れた。けれどそれは長く続かなかった。録画ランプの赤が、もう逃げ場はないと無言で告げている。撮られている以上、ここで拒んでも、たった今までの自分の姿は消えない。だったら——という諦めと、認めたくない疼きが、彼の頭をゆっくりと前へ傾けさせた。制帽のつばが俺の腹に触れる。町の好青年の象徴が、その体勢で揺れている。それだけで、背筋に痺れが走った。

ぎこちなかった。歯が当たる。深く咥えすぎてえずく。じゅ、と浅い水音と、んぐ、と喉が詰まる音が交互に鳴る。スマートさのかけらもない、不器用な口だった。だがその不器用さが、彼が普段これをやらない真面目な男だという何よりの証拠で、俺の興奮を底から押し上げた。窄めた唇の端から唾液が伝うたび、彼の喉の奥がきゅっと窄まる。

「巡査さんの口、こんなに使えるとはな。ほら、舌使え」

軽く頭を撫でてやると、彼の喉から鼻にかかった声が漏れた。褒められて、揺れている。叱る側の人間が、褒められることに弱い。その急所を、俺は逃さず突いた。「上手だ」「もっとだ」——短い言葉を落とすたび、彼の奉仕は深く、熱心になっていく。口の端から唾液が伝い、制服の襟元に落ちて、白いワイシャツに小さな染みを作った。几帳面に保たれていた制服が、彼自身の溢れたもので汚れていく。舌の動きが、いつの間にか自分から裏筋を辿るように変わっていた。誰も教えていないのに。

口を離させると、唇の端から銀色の糸が引いた。彼はそれを拭うこともせず、肩で息をしていた。焦点の合いかけた目で、俺を見上げている。唾液で濡れた唇が、てらりと光っていた。

「赤羽くん。後ろ、向け。四つん這いだ」

その指示の意味を、彼は一瞬で理解した。理解して、体を強張らせた。けれど、もう逆らう言葉は出てこなかった。のろのろと向きを変え、ワイシャツの裾の下、まだ制服のズボンを半端に引っかけたまま、尻を俺のほうへ向ける。制帽だけが頭の上で、几帳面に角度を保っている。その滑稽なほど中途半端な格好が、完全な裸より遥かに淫らだった。

俺は唾液を指に絡めた。常備のローションなんてものは、わざと出さない。今夜のために用意した小瓶はあるが、最初は唾液で十分だ。痛みも段取りも、彼にちゃんと体験させたい。指先を窄まりにあてがうと、彼の全身がびくりと跳ねた。

「あ……っ、そこ、は……」

「逃げるな。力を抜け」

ゆっくり、第一関節だけを沈める。括約筋がきつく拒んで、指を押し返してくる。当然だ。彼はここを、こんな風に使ったことがない。「いっ……」と息を呑む声。俺は無理に進めない。入り口を慣らすように、ぬる、ぬると唾液を足しながら、浅いところで指を回した。きつく締まっていたものが、時間をかけるほどに、少しずつ熱を持って緩んでいく。

「痛いか」

「……わかんな、い……変な、感じ、で……」

「そうだ。それでいい。慌てるな」

ここで急いだら台無しになる。彼の体が「異物」を「異物でない」と思い始める、その境目をじっくり待つ。用意していた小瓶を開け、たっぷりと垂らす。とろりとした冷たさが窄まりを伝い、彼の腰がびくついた。指を一本、根元まで。今度は抵抗が和らいでいた。中をゆっくり探って、腹側の壁を指の腹でくすぐると——彼の声が、初めて明確に変わった。

「ひぅっ……あ、なに、これ……っ」

「ん。ここか」

そのコリッとした奥の一点を、軽く押す。引く。また押す。彼の喉から、これまでとは違う、甘くひしゃげた声が漏れた。痛みでも、戸惑いでもない。本人が一番、その変化に動転している。「気持ち悪い、はず、なのに……っ」と、彼は四つん這いのまま、シーツを掴んで震えた。羞恥が、はっきりと快感に縫い変わっていく音が、俺には聞こえた気がした。

「気持ち悪いのに、ここ、ひくひくしてるぞ。俺の指、締めて離さない。自分で言ってみろ、いま後ろがどうなってる」

「……っ、し、めて……ます……勝手に……っ」

「何を締めてる。誰の指を」

「あなたの、指を……後ろで、締めて……っ、あ、あっ」

言わされた言葉のひとつひとつが、彼自身の体に火をつけていく。指を二本に増やす。今度はもう、入り口は俺を拒まなかった。前立腺を二本の腹で挟んで揺するたびに、触れてもいないのに、つう、と先走りが垂れて床に落ちた。後ろだけで感じている。その事実が、彼自身を一番打ちのめしていた。

「もう、欲しいって顔してるな。言ってみろ。何が欲しい」

「……っ、う……」

「言えないなら、ずっとこのままだ。指だけで、朝までな」

その脅しが、彼の最後の堤防を崩した。

「い……れて、ください……後ろ、に……っ、あなたのを……っ」

「誰の前で言ってる。カメラに向かって、もう一度」

彼は震えながら顔を上げ、赤い点に向かって、掠れた声で繰り返した。「後ろに……入れて、ください……っ」と。録画ランプは、その一言を残さず吸い込んだ。

俺は指を抜き、たっぷり濡らした自分のものをあてがった。先端を押し当てると、彼の窄まりが、自分から物欲しげにひくついた。ゆっくり、体重をかけていく。一番太いところで、彼の体が一度止まる。「ぐ……」と低い呻き。俺は焦らず、浅く引いて、また押す。寄せて引く波を、今度は後ろで作る。何度目かで、つぷ、と先端が中へ滑り込んだ。

「あ——っ、はい、っ、た……」

「全部じゃない。まだ半分だ。深呼吸しろ」

言われた通り、彼は震える息を吐いた。その隙に、もう一段。腹の奥を、下から押し上げられる感覚。内臓ごと持ち上げられるような重みに、彼は「お、おく……っ、重い……っ」と掠れた声を漏らした。痛みと圧迫が、確かにそこにある。だがそれを上回って、さっき指で覚えた一点が、太いもので擦られる甘さに、彼の腰が勝手に揺れはじめる。

「動いてるのは、どっちだ」

「ぼ、く……っ、勝手、に……腰、が……っ」

「そうだ。お前の体は、もう俺に正直になった」

ゆっくり、奥まで収める。根元まで埋まった瞬間、彼は声にならない息を吐いて、シーツに突っ伏した。制帽が、ずれて落ちかける。俺はそれを片手で押さえ直してやった。「制帽は、そのままだ」と。崩れた格好の中で、その記号だけがまだ几帳面に頭の上にある——その滑稽さと淫らさに、俺は腰を引いて、また押し込んだ。

抜き差しを始めると、結合部からくち、くち、と粘った音が立ちはじめた。彼の声は、突くたびに言葉の形を失っていく。「あ、あ、あっ」と、途切れる断片。腹の奥のあの一点を、角度を変えて何度も擦り上げる。彼の背中が反り、足の指がきゅっと丸まる。前は触れていないのに、先端から透明なものが糸を引いて垂れ続けていた。汗を吸ったワイシャツが、背中にぴたりと貼りついて、肩甲骨の形を浮かせている。後ろだけで、彼はもう限界が近い。

「ま、まって、なんか、来る……っ、変なの、来ます……っ」

「来させてやる。そのまま、何も考えるな」

俺は速度を上げた。腰のぶつかる打音が、ぱ、ぱ、と部屋に響く。彼の喉から、町の好青年からは想像もつかない、メスじみた高い声が漏れた。一度、波が引いて——彼が「あ、いっちゃ……」と口走った瞬間、俺はわざと動きを止めた。寸前で。彼の腰が、行き場を失って空を掻く。「な、んで……っ」と、彼自身が止められたことに不満を漏らす。それを聞いてから、また一気に突き上げる。寄せて、引いて、また寄せる。焦らした分、二度目の波は一回り大きく彼を呑んだ。

「い、く、いく、いっちゃ……っ、あ——」

制帽の下で、彼の目が焦点を失い、白目が覗いた。几帳面に整えられていた呼吸が、完全に崩れ落ちる。腰がびくびくと痙攣し、後ろが俺を万力のように締め上げた。「ひ……っ」と引きつった一声を最後に、言葉が出なくなる。彼は前を一度も触られないまま、ワイシャツの胸の下、汚れた床へ向けて、自分のものを撒き散らした。とぷ、とぷ、と何度も脈打って、最後はとろりと糸を引いた。町の好青年では到底ありえない顔をして、果てた。赤いランプは、その瞬間をひとつ残らず記録していた。

奥で締め付けられた俺も、そのまま彼の中へ放った。注がれた熱が広がる感触に、彼は痙攣しながら、もう一度小さく達した。後ろでイく、というものを、几帳面な体が今夜、覚えてしまった。


数秒の痙攣のあと、彼の体から力が抜けた。ずるりと俺が抜けると、奥に注がれたものが、窄まりから一筋、太腿の内側を伝って落ちた。彼はそれを拭う気力もなく、床に崩れて荒い息を続けた。さっきまで熱を持っていた肌が、汗が引くにつれて、ひやりと冷えていく。几帳面に折られていた制服は、もうどこにもなかった。

正気が戻ってくると、彼は崩れた制服を慌てて掻き合わせようとした。ネクタイを締め直そうとする指が、まだ震えて言うことを聞かない。「俺は……こんな、つもりじゃ」——掠れた声で、誰に言うでもなく呟く。几帳面な男が、几帳面な自分に裏切られた事実を、必死で元の場所に戻そうとしている。その戻らなさこそが、今夜の収穫だった。後ろにはまだ、俺が放ったものの感触が残っている。さっき自分の口で「入れてください」とカメラに向かって繰り返したことも、拭っても消えない。

俺はスマホを手に取り、録画を止めた。赤い点が消える。だが消えたのは点だけで、中身は消えない。それを彼も分かっている。だから彼は、画面をちらりと見て、また顔を伏せた。

「消して、もらえますか」

「どうかな。お前のいい顔だ。もったいない」

彼は何も言い返せなかった。表ではちゃんとしていればいい。明日もあの交番で、真っ直ぐ立っていればいい。ただ、消えない記録がここに一つ残った——その事実が、これから先ずっと、彼を俺のところへ通わせる。脅すまでもない。後ろが覚えた快感も、自分の口が言わされた言葉も、消えはしない。彼自身が、もうそれを知っている。

帰り際、玄関で制帽を被り直した彼は、つばの角度を几帳面に整えた。商店街の好青年の顔が、表面だけ戻っていた。けれど靴を履く彼の首筋は、まだ赤いままだった。歩くたびに後ろに残る違和感に、彼の足取りは、ほんの少しぎこちなかった。

「……また、来ます」

それは報告でも、職務でもない声だった。律儀な男の口から漏れた、いちばん正直な一言だった。俺はドアを閉めながら、消すつもりのない動画を、もう一度頭の中で再生していた。明日の昼、商店街で鍵かけ指導をする彼を見るのが、今から楽しみで仕方なかった。あの真っ直ぐな顔の下に、今夜の崩れた声と、自分の口で言わされた言葉が、もう一生消えずに住みついているのだから。

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作中の用語・隠語の意味は ゲイ用語辞典 で解説しています。