元カレの弟とマッチングアプリで偶然マッチした結果www
三年付き合った元カレと別れて半年、マッチングアプリのスキップ画面に出てきたのは、忘れかけていた顔に似た男だった。元カレの弟・ナツキ(22)。バイだという彼は「兄が好きになる人を確かめたかった」と俺の部屋に来る。禁断と言うほど大袈裟ではない、けれど絶対に兄には言えない、元カレの弟との一夜を描くゲイ短編。
「お久しぶりです」
メッセージはそれだけだった。
でもその一言だけで、俺はすぐにわかった。あのアイコンの顔立ち、目の形、口元の角度——三年間俺の隣にいた男の、血のつながった弟だ。
ナツキ(22歳)。元カレの弟。
三年付き合って、半年前に別れた。元カレと会う機会も連絡も、今はゼロだ。でもアプリのスキップ候補に出てきた瞬間、指が止まった。「似てる」と思った。でも顔がもっと若くて、目が鋭くて、少し危うい雰囲気がある。
ライクを押したのは俺が先だったのか、向こうが先だったのか、マッチした瞬間にはもうわからなかった。
「お久しぶりです」のあとに来たのは「会えますか」の五文字だった。
「なぜ俺のことを知ってるんだ」
最初のメッセージで直接そう聞いた。
「兄から、お前の話をさんざん聞かされてきたので」
「兄から?」
「別れた後も、ずっとお前の話をしてました。好きだったんで、なかなか切り替えられなかったみたいで。俺はずっと横で聞いてた」
「……そうか」
「一度会いたかった。兄が話してたお前がどんなやつか、俺自身で確かめたかった」
「それだけか」
少し間があった。
「……それだけじゃないかもしれないです」
会ったのは渋谷の喫茶店だった。
やはりよく似ていた。でも近くで見ると、元カレとは全然違う顔だとわかった。元カレが穏やかな顔をしていたのに対して、ナツキの目は何かを試すような鋭さがある。22歳の若さと、それに似合わない落ち着きが同居していた。
「俺に会って、どうしたかった」
俺が聞くと、ナツキはコーヒーを一口飲んでから答えた。
「正直に言います」
「言え」
「兄が好きになる人がどんな男か、俺も興味があった。そして——会ってみたら、想像以上に俺の好みでした」
「ゲイなのか」
「バイです。女の人とも付き合ったことある。でも男も好き」
「兄は知ってるか」
「知りません。俺もゲイ向けアプリを使ってるのを知られたら……まあ、複雑な話になるんで」
「俺と会ったことも?」
「言うわけがないです」
俺は少し考えた。
「複雑そうな話だな」
「複雑です。だから来る前に散々悩みました」ナツキは真っ直ぐに俺を見た。「でも来た。それが答えです」
俺の部屋に来るまでの道、ナツキはほとんど喋らなかった。
余計なことを言わない男だった。その沈黙の質が、元カレと似ていて、似ていなかった。
部屋に入って、缶ビールを渡した。ナツキはひと口飲んで、ゆっくりと部屋を見回した。
「兄と来たことあるんですか、ここ」
「何度も」
「そうですか」
「嫌か」
「嫌じゃないです。むしろ——ここにいると、兄が好きだった理由が少しわかる気がして」
「どういう意味だ」
ナツキは俺を見た。
「男として落ち着いてるから。傍にいるだけで安心する、みたいな感じがある」
「兄からの受け売りか」
「俺が今感じてることです」
少し間があった。
「——直接聞く。俺と今夜、どうこうしたいと思ってるか」
ナツキは目を逸らさなかった。
「はい」
「兄の元カレだぞ」
「知ってます。だから来るまで悩んだ。でも——会ったら、もう考えるのをやめました」
ソファに座ったナツキの隣に移動した。
肩に触れた。ピクリとしたが、よけなかった。首筋に顔を近づけると、若い男の熱と汗と、かすかなコロンの匂いが鼻に届いた。
「緊張してるか」
「……少しだけ」
「経験あるんじゃなかったのか」
「あります。でも……兄の元カレは特別な感じがして。兄が好きだったやつだから」
「それが興奮するのか」
「……興奮します。変ですか」
「変ではない」
唇を近づけた。ナツキが俺の唇を迎えた。深く、静かなキスだった。舌が触れると、ナツキの喉からかすかな声が漏れた。経験があるのは確かで、ぎこちなさはなかった。でも緊張しているのが、唇の温度と鼓動でわかった。
「……キス上手い」
「経験の話はどっちもするな」
「そうですね」
シャツのボタンを外した。ナツキが素直に腕を通す。細身だが、22歳の引き締まった体がある。鎖骨の線が綺麗で、胸板は薄く筋肉が張っている。俺が乳首に触れると、「んっ」と声を漏らした。
「弱いのか」
「……弱いです、そこ」
「覚えておく」
「なんで覚えるんですか」
「また使うかもしれないから」
「……また会ってくれるんですか」
「それは終わってから考える」
ナツキのベルトを外し、ズボンを引き下ろした。
下着の布地がはっきりと盛り上がっていた。既に先走りで濡れ始めているのが、布地の色でわかった。
下着を下ろした瞬間、張りつめた肉棒が弾けるように立ち上がった。22歳の若さが凝縮したような、力強くて熱い逸物。先端から透明な液体がにじみ出て、俺の指先に絡みつく。
「……見るな」
「見る」
「恥ずかしい」
「兄と似てるか」
「……なんでそこで兄の話を出すんですか」
「似てるか、聞いてる」
「……知りません。比べたことないので」俺の目を避けながら言った。「兄のことを思い出してるんですか」
俺はナツキの根元を静かに握り込んだ。
「——っ……!」
考える間もなく声が出た。
「思い出してない。お前を見てる」
「……本当ですか」
「嘘をつく必要がない」
ゆっくりと上下した。先走りが滑り、ぬちゅりという音が小さく立つ。ナオキの息が乱れ始める。親指で先端の裏筋を押し擦ると、腰が跳ねた。
「っ……あ……そこ、敏感で……」
「わかった」
「……あっ、続けて……」
俺は裏筋を集中的に攻め続け、もう一方の手でナツキの内ももを撫でた。敏感な肌が震え、太ももがじわじわと開いていく。指の間がぬるぬると滑り始め、先走りが溢れてくる。
「口で——してもらえますか」
「いいのか」
「……お願いします」
元カレが絶対に知らない声で、弟が俺にねだっていた。
俺は頭を傾け、先端に唇をそっと当てた。
「んっ……!」
熱い。柔らかい。透明な液体が舌に広がり、濃厚な男の味がした。唾液を絡めながらゆっくりと咥え込むと、根元まで一気に到達した。喉の奥で締め付けながら、舌を裏筋に這わせる。
「……っ! 深い……すごい……」
ナツキの指が俺の髪に伸びた。握り込むのではなく、ただ触れているだけだった。俺が上下のリズムを速めると、その指が少しずつ力を帯びていく。
俺は激しく頭を動かした。
「あっ……っ……もう……」
「出ていい」
「……っ、口に——」
「いい」
ナツキの腰が大きく持ち上がり、熱い精液が喉の奥に叩き込まれた。一波、二波、三波。何度も続いて、ナツキの全身が電流のように震えた。俺は最後の一滴まで飲み干した。
しばらく、静かだった。
ナツキは目を閉じたまま荒い息を整えていた。
「……本当にすごい」
「そうか」
「兄は幸せだったと思う。付き合ってた頃は」
「俺もよかった」
ナツキはシャツを着直して、帰り際に玄関で俺を振り返った。
「また、会えるか」
「条件がある」
「何ですか」
「兄には言うな。それだけだ」
「言いません。元から言うつもりがない」
「なら、連絡していい」
ナツキは頷いて、ドアを閉めた。
一人になって、俺はしばらくソファに座ったままでいた。
元カレに似た目の形と、全然違う性格の男。同じ血が流れているのに、こんなにも違う。
翌日の夜、アプリにメッセージが来た。「先週話したレストラン、今週末どうですか」。
俺は少し笑って、「いいよ」と返した。
これが正しいのかどうか、まだわからない。ただ、ナツキが「俺が選んだ」と言った声が、耳から離れなかった。