10年ぶりに再会したノンケ幼馴染に襲われた話
10年ぶりに地元に帰ったら、幼馴染が筋肉質のイケメンになっていた。酔いが回った夜、俺の部屋で立場が逆転して…
「マジかよ……誰だよお前」
思わずそう言ってしまったら、ショウタはニヤッと笑った。
「十年ぶりっすよ、先輩。忘れたんですか」
忘れていない。ただ、覚えていた「ショウタ」と、目の前に立っているこの男が、どうしても結びつかなかった。
俺が地元を出て東京に行ったのが二十歳のとき。地元の同窓会連絡が来て、めんどくさいな、とは思いつつ久しぶりだしと帰ってきたのが先週末のことだ。
ショウタ(29歳・仮名)は小学校からの幼馴染で、小・中と俺の方が一学年上だった。当時はひょろひょろで、背も俺より低くて、よく近所の悪ガキにからかわれていた。それを俺が助けてやったりしていたから、ショウタはずっと「先輩、先輩」と俺についていた。
目の前のショウタは、身長百八十センチ近い。肩幅が広い。シンプルな白Tシャツが胸板と上腕の筋肉でパッツパツになっている。顎のラインがシャープで、目つきに落ち着きがある。
「……どうしたんだよ、そんなになって」
「どうって、筋トレと食事管理っすよ。先輩と別れてから暇だったんで」
からかうような口調で言って、また笑った。
同窓会のあと、ショウタと二人で飲みに行くことになった。
地元のチェーン居酒屋で、最初は昔話をしていた。地元を出てからの十年間のお互いの近況。ショウタは地元で働いていて、独身で、彼女も今はいないという。
俺がゲイだということは、当然言わなかった。
飲みが深まるにつれて、ショウタの話し方から少しずつ敬語が外れていった。昔もそういうやつだった。初めはちゃんと「先輩」と言うのに、打ち解けてくると「お前」に切り替わる。今もそうで、缶チューハイの三本目あたりから「お前さ」「お前って昔から」という口調に変わっていた。
「お前、東京でなに不自由なく生きてそうだよな」
「そんなことないけど」
「なんかさ——」ショウタは少し目を細めた。「お前って、昔から、誰とも深いところで付き合ってなさそうな感じがする」
「急に何の話だ」
「いや、なんとなく」
その目が、少し鋭かった。子供の頃の無邪気な目と、明らかに違う目だった。
「うちで飲み直さないか」と俺が言ったのは、終電が近くなったからだった。
親の家に泊まるつもりで帰省していたが、夜中に戻るのも気が引けた。駅近くのビジネスホテルを一室取ってあったから、そこに誘った。
「いっすよ」とショウタは即答した。
ホテルの部屋に入って、コンビニで買ってきたビールを飲みながら続きを話した。部屋が狭いから、ベッドに並んで腰掛けるような格好になった。
ショウタの肩が近い。Tシャツ越しに、筋肉の硬さと体温が伝わってくる気がした。
「先輩さ」
ショウタが缶を持ったまま言った。
「なんか俺のこと、見てるよね」
「……は?」
「居酒屋の頃から。ずっとちょっと見てる」
否定しようとしたが、言葉が出てこなかった。ショウタはこちらを向いた。真顔だった。
「俺のこと、タイプとか?」
「……なに言ってんだ」
「嘘つかなくていいよ。お前がゲイだって、なんとなくわかってたから」
心臓が一発、強く鳴った。
「なんとなく、ってなんだよ」
「昔から、男を見る目してたじゃん」
ショウタは缶をテーブルに置いて、静かにこちらに向き直った。体が大きいから、向かれると圧がある。
「俺のこと、どう思ってる?」
「……」
「正直に言えって」
俺が「かっこよくなったと思う」と言うのがやっとだった。
ショウタは少しの間、俺の顔を見た。それからゆっくりと手を伸ばして、俺の顎を持ち上げた。
「じゃあ、いいじゃん」
「なにが」
「俺が先輩を落としても」
子供の頃にはなかった目で俺を見ていた。俺を追いかけていた小さなショウタじゃなかった。落ち着いて、どこか余裕のある——俺より若いのに、完全に上の立場で俺を見ている目だった。
「お前、ノンケだろ」
「まあ」
「まあって何だ」
「先輩が相手なら、試してみたいと思ったことがある」
心拍数が上がっていくのをはっきりと感じた。
「いつから」
「去年くらいから、SNS見ながら」
「……馬鹿じゃないのか」
「馬鹿でもいいよ。嫌か?」
嫌か、と聞きながら、すでに距離を詰めてきている。顎を持った手が、俺の頬に移動している。
「……嫌じゃない」
「じゃあいいじゃん」
ショウタの唇が触れた瞬間、俺の思考が静かに止まった。
ショウタは意外なほど積極的だった。
俺のシャツのボタンを外し、肩から落として、首筋に唇を当てる。慣れていないはずなのに、動きに躊躇がなかった。ただその口づけは少しぎこちなくて、男同士のやり方がわかっていないまま勢いでやっている感じがした。
「ちょ、ちょっと」俺が言うと、ショウタが動きを止めた。
「嫌だった?」
「違う……ちゃんとやり方教えてやる」
「……あ」少し照れたように視線をずらした。「俺、下手か」
「不慣れなだけだ」
「そっちの方が恥ずかしいな」
俺は笑いながら、ショウタのTシャツを引き上げた。鍛えた腹筋と胸板が現れる。スタンドライトの光に照らされて、引き締まった体が輪郭を持つ。俺はその胸板に手を当てた。鼓動が速い。こっちも緊張しているのだとわかって、少しだけ余裕が生まれた。
ショウタの首筋から鎖骨へと唇を滑らせる。胸板、脇腹、腹筋の溝。「っ」と短い息が漏れた。
「……お前、上手いな」
「経験があるから」
「そっか……」
ベルトを外すと、ショウタは一度「待って」と言って、天井を向いた。
「なに?」
「なんか……恥ずかしくて」
「今更かよ」
「今更だ、うるさい」
でも止めろとは言わなかった。俺はゆっくりとズボンを引き下ろした。下着の布地が張り詰めているのが一目でわかった。下着を膝まで下ろすと、びんっと硬く反り返ったちんぽが現れた。大きい。長くて太く、既に先走りが滲んでいた。
「……見んな」
「見るわ」
「……性格悪ぅ」
俺はゆっくりとその根元を握り込んだ。熱い。ショウタが短く息を詰めた。親指で先端をゆっくりと擦ると、「ふっ」と息が漏れた。腰が浮く。
「……上手い、ほんとに……」
「黙ってろ」
「お前に言われるとは思わなかったな……っ」
俺が根元から先端まで丁寧に扱き始めると、ショウタの太ももが震えた。腹筋が引き絞られ、腰が少しずつ俺の手を求めるように動く。「はっ」「くっ」という息が乱れていく。
しばらくして、俺は頭を傾けた。
「え——ちょ、先輩——」
「動くな」
「で、でも男に……」
「ショウタが俺を落としたかったんだろ」
「……そうっす、けど」
「黙ってろ」
先端を唇で包み込んだ瞬間、ショウタの体が大きく震えた。
「っ……! え、マジか……」
驚いた声が出た。でも手は来なかった。俺は唾液を絡めながらゆっくりと喉の奥まで咥え込んだ。くぽっ、くぽっという音が部屋に広がる。舌で裏筋を丁寧になぞりながら上下すると、ショウタの腰が止まらなくなった。
「ちょ……先輩……俺……やばい……」
「出ていい」
「でも——っ」
更に声を上げる間もなく、ショウタの体が激しく震えた。腰が大きく跳ね上がり、熱い精液が喉の奥に流れ込んだ。「あ……っ!」という絞り出すような声が出た。何度も波打ちながら、最後まで俺が飲み干した。
ショウタはしばらく荒い息のまま天井を向いていた。
「……なんか、俺が落としに来たのに」
「結果的には落とされたな」
「腹立つ」でも笑っていた。「先輩ずるいわ」
「慣れてる分のアドバンテージだ」
ショウタは起き上がって、乱れた前髪をかき上げた。照れているのか、顔が少し赤い。
「……また会いたい」
ぼそっと言った。
「次、東京来たときに連絡していいっすか」
「来るの?」
「行く。用事作って行く」
俺は缶ビールを一口飲んで、「来てもいいけど」と答えた。
ショウタは窓の外を見て、静かに笑った。
子供の頃の、俺についていつも笑っていたあの顔に、少しだけ似ていた。
でも全然違う目をしていた。