「男同士なら浮気にならない」と言い訳して始まった関係が本気になった話
同棲中の彼女がいる俺は、職場のゲイの同期・レンタと深夜残業の勢いで一線を超えてしまった。「男同士だし、浮気じゃないよな?」——そう自分に言い訳し、都合のいい性処理のつもりで始まった関係。しかし、レンタの優しさと、男のちんぽがもたらす極上の快楽に溺れていくうちに、俺の心は彼女ではなく、レンタに完全に奪われていた。
全ての始まりは、あのデスマーチの夜だった。
俺——タクミ(25歳)は、都内のIT企業でシステムエンジニアとして働いている。大学時代から3年間付き合って、半年前から同棲を始めた彼女・マイがいる。可愛くて、料理が上手くて、優しい女の子だ。友達からは「お似合いだね」と言われるし、将来は結婚するのかなとぼんやり考えていた。
問題は——マイとの生活に、どうしようもない「退屈」を感じ始めていたことだ。
付き合って3年。同棲して半年。朝起きて、「いってきます」「いってらっしゃい」。仕事から帰って、マイの作った晩ご飯を食べて、テレビを見て、風呂に入って、セックスは週に1回あるかないか。あっても10分で終わる淡白なもの。お互いに「好き」とは言うけど、心臓がドキドキするような瞬間は、もう遠い昔に消えていた。
同期のレンタ(25歳)は、同じプロジェクトチームに配属された入社同期だ。
身長178センチ、細身だが肩幅が広く、ジムで鍛えた体は服の上からでもわかる。短めの黒髪を無造作にセットしていて、切れ長の一重の目と、薄い唇が、どこか中性的な色気を漂わせている。仕事は抜群にできて、コードを書かせたらチーム一番。でも性格は飄々としていて、いつもどこか掴みどころがない。
レンタがゲイだと知ったのは、入社1年目の忘年会だった。
酔った先輩に「レンタ、彼女いないの?」と聞かれた時、レンタはあっさり「彼女はいないですけど、彼氏ならいましたよ」と答えた。場が一瞬凍りついたが、レンタ本人はケロッとしていた。
それ以来、レンタがゲイだということは社内では周知の事実になったが、本人が全く気にしていないので、周囲も自然と受け入れていた。俺もレンタとは普通に仲が良く、ランチを一緒に食べたり、退勤後に飯に行ったりする関係だった。
レンタが俺に対して特別な感情を持っているとは、微塵も気づいていなかった。
12月中旬。年末リリースに向けたデスマーチの真っ只中だった。
チーム全員が終電まで残業していたが、年末が近づくにつれて一人、また一人と脱落していき、最後に残ったのは俺とレンタの二人だけだった。
深夜2時。オフィスの照明は半分消えていて、薄暗い中でモニターの光だけが二人の顔を照らしていた。
「タクミ、コーヒー買ってきたぞ」
レンタが自販機から缶コーヒーを二つ持ってきた。片方を俺に差し出しながら、俺の隣の椅子に座った。
「サンキュ……。あと2時間で終わるかな、これ」
「終わらせるしかないだろ。年末に持ち越したくない」
缶コーヒーを開けて、一口飲んだ。苦いブラック。疲労で頭がぼんやりする。
「なぁ、レンタ」
「ん?」
「マイと同棲してるの知ってるだろ」
「知ってるよ。仲いいんだろ?」
「……最近、なんか義務感ばっかりでさ。帰っても疲れてるだけで、マイに優しくする余裕もないし。セックスもご無沙汰だし。なんていうか——何のために一緒に暮らしてるのかわからなくなってきた」
深夜のテンションと疲労が、普段は言わないような本音を引きずり出した。
レンタは缶コーヒーを机に置いて、椅子を少し俺の方に向けた。
「タクミ。それ、かなりやばい状態だぞ」
「わかってる。でもどうすればいいかわからないんだよ。もっと刺激っていうか、ドキドキするような——」
「ドキドキ?」
レンタが、少しだけ口角を上げた。
「じゃあさ——俺が、ドキドキさせてやろうか」
「……は?」
レンタの顔が近づいた。デスクの間接照明だけが照らす薄暗いオフィスで、レンタの切れ長の目が、俺の目を真っ直ぐ捉えていた。
「俺、タクミのこと好きなんだよね。入社した時からずっと」
「え——レンタ、お前——」
「知ってただろ、俺がゲイだって。でも、タクミに彼女がいたから、ずっと我慢してた。でも今の話聞いて——もう我慢できねぇ」
レンタの手が、俺の椅子の肘掛けに置かれた。体が近い。レンタの匂い——汗と制汗剤が混ざった、男の匂い——が鼻に届いた。
「待て、俺は——」
「男同士なら、浮気にならないだろ?」
その一言で——俺の脳内で何かが弾けた。
「男同士なら、浮気にならない」。
そうだ。女と寝たら浮気だけど、男相手なら? 男同士でキスしても、セックスしても、それは「浮気」のカテゴリには入らないんじゃないか。だって、相手は女じゃないんだから。ちょっとしたストレス解消。同僚との戯れ。ノーカウント。
疲労と退屈と、レンタの色気が、俺の理性を一瞬で蒸発させた。
「……浮気には、ならないよな」
「ならない。絶対に」
レンタの唇が、俺の唇を塞いだ。
「んっ——!」
男の唇。薄くて、少し硬くて、コーヒーの苦い味がした。レンタの舌が俺の唇を割って口の中に入ってきた。強引に、でも上手く。舌と舌が絡まり合い、唾液が混ざる。
マイとのキスとは全然違った。マイのキスは柔らかくて甘かった。レンタのキスは——力強くて、獰猛で、「お前を食ってやる」という意志があった。
キスしながら、レンタの手が俺のワイシャツの裾から中に入ってきた。
「っ……!」
指先が腹筋をなぞり、胸板を這い上がり、乳首に到達した。
「あっ——」
「ここ、敏感だな。硬くなってる」
レンタの指が乳首をくるくると弄った。コリコリと突起を転がされるたびに、背筋にビリビリと電流が走る。
「やめ……ここ、会社だぞ……」
「防犯カメラもないし、このフロアに俺たち以外誰もいない。声だけ気をつけろ」
レンタが俺の椅子を引っ張って、会議室のドアの前まで移動させた。ドアを開けて、二人で中に入る。窓のない密室。楕円形のテーブルと椅子だけの、味気ない空間。
レンタがドアを閉め、鍵をかけた。
「ここなら誰も来ない。思い切り声出していいぞ」
レンタが俺のベルトのバックルに手をかけた。
「待って——本当にするのか——」
「タクミ。お前、もうこんなに勃ってるぞ」
レンタの手が、スラックスの上から俺の股間を撫でた。確かに——ガチガチに勃起していた。いつの間に。男にキスされて、乳首を弄られただけで、こんなに。
「男に勃つのが恥ずかしいか?」
「恥ずかしい……けど……止められない……」
「止めなくていい」
レンタがベルトを外し、スラックスのホックを外し、ジッパーを下ろした。スラックスとパンツが膝まで下ろされ、俺のちんぽが飛び出した。
「いい形してるな、タクミ。固い」
レンタが椅子の前に膝をついた。俺のちんぽの目の前に、レンタの顔がある。
「何を——」
舌先が亀頭の先端をぺろっと舐めた。
「ひっ——!」
「しー。声」
レンタが唇で亀頭を包み込み——そのまま半分くらいまで一気に咥え込んだ。
「あ、あっ……!!」
温かい。濡れている。レンタの口の中は狭くて密度が高く、舌が裏筋を器用に舐め上げながら、唇がカリの段差を締め付ける。
「れ、レンタ……上手い……やべぇ……マイより全然……」
比較するべきではないとわかっていた。でも、口から勝手に出た。それくらい、レンタのフェラは上手かった。男は男のちんぽの扱い方を知っている——それを実感した。
レンタが前後に頭を動かし始めた。ずちゅ、ずちゅ、と水音が会議室の静寂の中に響く。
「あ、あ、レンタ……やべぇ、イきそう……すぐイきそう……」
レンタが口を離した。唾液の糸が光った。
「まだイかすなよ。もっといいこと教えてやる」
「もっと——?」
レンタがポケットからローションの小さなパウチとコンドームを取り出した。
「……お前、最初から用意してたのか」
「毎日持ち歩いてたよ。タクミと二人きりになれる日を待ってたから」
背筋がゾクッとした。でも——怖くなかった。むしろ、レンタに「待ってた」と言われたことで、胸の奥が熱くなった。
「入れるぞ。お前の穴に」
「穴って——アナル? 無理だろ、男のちんぽなんて——」
「男同士だから、全部許されるんだよ。浮気にならないのと同じで、男同士なら何をしたって問題ない。そうだろ?」
レンタの「男同士だから」という免責の言葉が、俺の最後の理性を吹き飛ばした。
会議室の椅子の上で、俺は四つん這いになった。スラックスは足首まで下がっていて、ワイシャツの裾がめくれ上がっている。お尻を後ろに突き出した、この上なく無防備な体勢。
会議室で。スーツ姿で。同僚に尻を差し出している。
常識的に考えればありえない状況なのに、ちんぽはさらに硬くなっていた。
レンタがローションを指に絞り、俺の穴の入り口に塗り込み始めた。
「冷たっ……」
「すぐ温まるよ。力抜いてな」
レンタの中指が、穴にゆっくりと入ってきた。
「くっ……! 異物感……変な感じ……」
「初めてだもんな。でも、すぐ慣れる。ゆっくりいくから」
レンタの指が、腸壁を撫でるように奥へ進んでいく。そして、ある場所に触れた瞬間——
「っっっ——!!!」
体が、椅子の上で大きく跳ねた。
「な——何今の——!? 体の中で——稲妻みたいなのが——!!」
「前立腺。男にしかない快感のスイッチ。ここを刺激すると——こうなる」
レンタが同じ場所を指で押し込んだ。
「ひゃあぁっ!!!!」
俺は自分の拳を口に突っ込んで、悲鳴を噛み殺した。ちんぽから先走りが垂れ落ちて、椅子の座面に水たまりを作っている。
「お、いい感度だな。タクミ、前立腺がめちゃくちゃ敏感だ」
「やめ——レンタ——それ以上触ったら——頭おかしくなる——」
「おかしくなれよ。会議室で男の指に前立腺弄られて、頭おかしくなっちまえ」
レンタの指が2本に増え、前立腺を執拗に刺激し続けた。
「あ、あ、あ、あっ! ダメ——ダメダメダメ——指だけで——こんなの——イっちゃう——」
「イケ。ちんぽに触らずにイってみろ」
「あああぁぁっ——!!!!」
射精した。ちんぽに一切触れていないのに、精液がびゅっと椅子の下に飛び散った。前立腺から来る快感は、ちんぽの射精とは全く別物で、体の芯から爆発するような、全身が震える絶頂だった。
「すげぇな。指だけでこんなに出るのか。じゃあ——ちんぽで突かれたら、どうなるか試してみるか」
レンタがコンドームを被せ、ローションをたっぷり塗ったちんぽを俺の穴に押し当てた。
「入れるぞ、タクミ。会議室で——同僚のちんぽを受け入れるんだ」
ずぶ……っ。
「ぁぐっっっ!!!!」
太い。痛い。指とは比べ物にならない硬い塊が、俺の穴を無理やりこじ開けて侵入してくる。
「痛い……! レンタ——太い——裂ける——」
「大丈夫。一番太い部分は越えた。あとは楽になるから——ゆっくり——」
レンタの手が俺の背中を撫でて落ち着かせた。その温かい手の感触に、不思議と痛みが和らいでいく。
少しずつ奥まで入っていき——根元まで到達した。
「全部入った。どうだ、タクミ」
「は、はぁ……はぁ……。お腹の中が……パンパンで……内臓が押されてて……でも……」
「でも?」
「……前立腺に、ちんぽの硬い部分が……当たってて……じんわりと……気持ちいい……」
「だろ? 動かすぞ」
レンタが腰を引き——突き入れた。
ずちゅっ。
「あっ——!」
また引いて——突く。
ずちゅっ。
「あ、あ……!」
最初は痛みが勝っていた。でも、5回、10回とピストンが繰り返されるうちに、痛みが薄れ——快感だけが残った。
レンタが角度を調整した。少し上向きに。
「ひゃぁっ——!! そこ——レンタ——前立腺——直撃——!!」
「見つけた。じゃあ——本気でいくぞ」
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ!
レンタが激しく腰を叩きつけ始めた。椅子がガタガタと揺れ、テーブルに体がぶつかる。会議室の空気が二人の荒い息と肉体のぶつかる音で満たされた。
「あっ、あっ、あっ! レンタ! やばい——マイとするのとは——全然違う——男のちんぽ——すごい——太い——前立腺を——ぐりぐり——」
「当たり前だ。男は男を犯すために作られてるんだよ。もっと締めろ、タクミ」
「ダメ——締めたら——もっと感じちゃって——イク——イクイクイク——」
「イケ! 会議室で! 同僚のちんぽで! イけ——!」
「あああぁぁぁっっっ——!!!!!!」
二回目の射精。ちんぽに一切触れていない。レンタのちんぽが前立腺を叩き潰す衝撃だけで、精液が椅子の上に噴き出した。全身が痙攣して、視界が真っ白に飛ぶ。
俺の穴がレンタのちんぽを痙攣的に締め付けた。
「くっ——タクミ——お前の穴——すげぇ——俺も——」
レンタが俺の中で射精した。ゴムの中にどくどくと精液が吐き出される脈動が、腸壁を通じて伝わってきた。
事後、二人で会議室の椅子に座ったまま、天井を見上げていた。
テーブルの上に散らばった資料。モニターのスクリーンセーバー。深夜3時の静寂。
「……レンタ」
「ん」
「これ——浮気じゃないよな」
「浮気じゃないよ。男同士だし」
「……だよな。浮気じゃない」
そう確認し合って、俺たちは残りの仕事に戻った。
でも——俺の穴は、レンタのちんぽの形を忘れなかった。
二回目は、翌週の水曜日だった。
また深夜残業。今度は最初から二人きりを狙っていた。
「タクミ。会議室、空いてるぞ」
レンタの一言で、俺は椅子を離れていた。
今回はレンタがローションとコンドームを複数持ってきていた。
「今日は時間があるから——ゆっくりやろうぜ」
前回は痛みが半分あった。でも今回は、指でほぐす時間を倍にしてくれたおかげで、挿入から快感だった。
「あ、あぁ……レンタ……今日は——最初から気持ちいい……痛くない……」
「穴が俺のちんぽの形を覚えたんだよ。週一で来いよ。もっと楽になる」
レンタが俺を対面座位で抱きかかえた。俺の両脚がレンタの腰に巻きつき、レンタのちんぽが下から突き上げてくる。
「あっ、あっ、レンタ——この体勢——前立腺に——モロに——!!」
「いいだろ。顔見ながらヤれるしな」
レンタの目が、俺の目を真っ直ぐ見ていた。切れ長の一重の目。その奥に、本気の愛情が見えた気がした。
「レンタ……」
「タクミ。好きだよ」
「……男に好きって言われるの——嫌じゃない——嬉しい——」
レンタが俺にキスしながら、腰を激しく突き上げた。
「あぁぁっ——!! 好き——レンタ——好き——!!」
言ってしまった。酔ってもいないのに。
三回目。四回目。五回目。
週に一回、会議室で体を重ねた。回を重ねるごとに、俺の体はレンタのちんぽに最適化されていった。
穴は柔らかくなり、挿入がスムーズになった。前立腺の感度は上がり続け、五回目の時には挿入と同時にドライオーガズムに達するようになっていた。
そして——セックス以外の時間にも、変化が起きていた。
ランチタイム。レンタが他の同僚——特に後輩の男——と楽しそうに話しているのを見ると、胸の奥がキリキリと痛むようになった。
「レンタ、さっき後輩の田中と何話してたの」
「え? プロジェクトの進捗だけど」
「そうか……なんか楽しそうだったから」
「ん? 嫉妬?」
「してない」
「嘘つけ」
レンタが笑った。俺は顔を背けた。
嫉妬していた。男に。同僚のゲイの男に。俺は完全に、レンタに恋愛感情を抱いていた。
「男同士だから浮気にならない」——そんな免責事項は、もう通用しなかった。
家に帰ると、マイが夕食を用意して待っていた。
「おかえり。今日はハンバーグだよ」
「ありがとう」
マイの作ったハンバーグは美味しかった。でも、食べながら頭に浮かぶのはレンタのことだった。今日の昼、レンタが後輩と笑っていた時の顔。俺にだけ見せる、セックスの後の穏やかな笑顔。
「ねぇ、リョウくん。最近、元気ないね。仕事忙しいの?」
「うん……ちょっとね」
「大丈夫? マッサージしてあげようか」
マイの小さな手が、俺の肩を揉んでくれた。優しい手。でも、俺の体が求めていたのは、レンタの大きくて力強い手だった。
夜、ベッドに入った。マイが隣に横になる。
「ねぇ……今日、久しぶりに……しない?」
マイの手が俺の胸板に触れた。
俺は——目を閉じた。
マイの手をレンタの手だと想像した。
ちんぽが勃った。
マイの中に入れた。でも、俺の頭の中にいたのはレンタだった。マイの声を聞きながら、俺の脳内ではレンタの低い声が「タクミ、好きだよ」と囁いていた。
最低だと思った。でも、止められなかった。
関係が始まって三ヶ月目の金曜日。レンタの家で体を重ねた後、裸のままベッドに横たわっていた。
レンタの家は港区のワンルーム。シンプルで物が少なく、大きな窓から夜景が見える。
「タクミ」
「ん」
レンタが真剣な顔で俺を見た。
「もう終わりにしよう」
心臓が止まった。
「……は? なんでだよ」
「俺、タクミのこと本気で好きになっちゃったんだ。最初は——タクミが彼女持ちだとわかった上で、体だけの関係でもいいと思ってた。でも、もう無理だ。毎週タクミを抱いて、気持ちよくさせて、でも終わったらタクミはマイさんの元に帰る。それが——たまらなく辛いんだよ」
レンタの声が震えていた。初めて見る、レンタの弱い姿。
「都合のいい穴扱いされるのも、もう限界だ。タクミにとって俺は——浮気にもカウントされない、ただの性処理相手なんだろ?」
「違う——レンタ——そんなこと——」
「違わないだろ。マイさんがいるのに、俺とヤッてる。それを『男同士だから浮気じゃない』って自分に言い聞かせてる。俺の気持ちなんて、考えてくれたこともないだろ」
レンタが、初めて泣いた。
切れ長の目から涙が一筋流れ落ちて、枕に染みを作った。
その瞬間——俺の胸が、今まで感じたことのない激しさで軋んだ。
レンタが消える。レンタがいなくなる。レンタの笑顔も、レンタの声も、レンタの体温も、レンタのちんぽも——全部なくなる。
そう想像した瞬間、恐怖で体が震えた。
マイを失うことより——レンタを失うことの方が、圧倒的に怖かった。
「待ってくれ、レンタ——!」
「もう決めた。月曜から——タクミとは距離を置く」
「待て——聞いてくれ——俺——お前のことが——」
声が詰まった。
「俺の人生で、こんなに誰かのことを考えてる時間が長かったこと、ない。ランチでお前が他の奴と話してるだけで胸が痛いし、お前の家に来る金曜日が一週間で一番楽しみだし——お前のちんぽで突かれてる時が、俺の人生で一番幸せな瞬間なんだ」
レンタが目を見開いた。
「お前を失いたくない。お前がいない生活なんて考えられない。レンタ——俺は——お前のことが——」
「タクミ——」
「好きだ。男として。ていうか——男とか女とかどうでもいい。お前が好きだ。レンタが好きなんだ」
レンタの涙が、もっと流れた。
「……本気で言ってるのか」
「本気だ。マイと別れる。一緒にいさせてくれ」
「タクミ——!」
レンタが俺に飛びついてきた。キスが降ってきた。涙と唾液がぐちゃぐちゃに混ざったキス。
「好き——タクミ——ずっと好きだった——入社した日から——ずっと——」
「ごめん——気づくのが遅すぎた——」
二人で泣きながらキスして、そのまま——今まで一番激しいセックスをした。
レンタのちんぽが、コンドームなしで俺の穴に突き入れられた。
「あぁぁっ——!! レンタ——生——熱い——」
「もう二度とゴムはつけない。タクミの中に——全部出す——お前は俺のものだ——」
「お前のものだ——レンタ——俺は——お前だけのものだ——!!」
ぱんっぱんっぱんっぱんっ——!!
「あ、あ、あ、あっ!! 奥——前立腺——壊れる——レンタ——愛してる——!!」
「俺も——タクミ——愛してる——中に出すぞ——!!」
「出して——全部——俺の奥に——レンタの精子で——俺を——満たして——!!」
「あぁぁぁっっっ——!!!!!!」
レンタが俺の最も深い場所で射精した。生のちんぽから吐き出される精液が、腸の奥にどくどくと流れ込んでいく。
俺もちんぽに触れないまま、レンタの精液を受け止めながら射精した。二人同時の絶頂。体が溶けて一つになるような、今まで感じたことのない幸福感に包まれた。
翌日の土曜日。
俺は同棲中のアパートに戻り、マイの前に正座した。
「マイ。話がある」
マイの顔が強張った。
「別れてほしい」
「……え? なんで? 急にどうしたの?」
「好きな人ができた」
「誰……? 浮気してたの……?」
「女じゃない。男だ」
マイの目が大きく見開かれた。
「男……? 誰……?」
「会社の同期。レンタって奴。もう三ヶ月、関係を持ってた。最初は——『男同士だから浮気じゃない』って自分に言い聞かせてた。でも——それは嘘だった。俺はレンタに本気で恋をしていた。マイに嘘をつき続けるのは、もう無理だ」
マイは泣いた。叫んだ。物を投げた。当然だ。俺は最低の男だ。三年間付き合って、半年同棲して、「結婚するかも」と思わせておいて、男に走った。許されるはずがない。
でも——もう自分を偽ることはできなかった。
一週間かけて荷物をまとめ、同棲を解消した。
マイのアパートを出たその足で、俺はレンタのマンションへ向かった。
インターホンを押すと、驚いた顔のレンタが出てきた。
「タクミ……? 荷物持って——お前——」
「マイと別れた。同棲も解消した。だから——」
俺はレンタの胸に顔を埋めた。レンタの腕が俺を包み込んだ。
「俺を、捨てないでくれ。レンタ」
「捨てるわけないだろ。ずっと——こうしたかった」
レンタが俺を部屋の中に引き入れ、ドアを閉めた。
その夜、俺たちは初めて「恋人」としてベッドに入った。
レンタが俺を仰向けに寝かせて、上から覆いかぶさってきた。キスしながら、ゆっくりと生のちんぽを挿入してくる。
「あ……レンタ……」
「今日からお前はここで暮らせ。俺の隣で、毎朝起きろ」
「うん……ここにいる……ずっと」
レンタが優しく、深く、腰を動かした。いつもの激しいピストンではなく、ゆっくりとした、愛を込めたストローク。
前立腺に触れるたびに、体がビクンと震えて、涙が溢れた。快感だけじゃない。安心と、幸福と、ようやくここに辿り着いたという感情の全てが、涙になって流れ出た。
「レンタ……好きだ……愛してる……」
「俺も。タクミ。ずっと、ずっと好きだった」
二人でイった。
レンタの精液が、俺の体の中にゆっくりと注ぎ込まれていった。温かくて、重くて、レンタの命そのものが俺の体内に流れ込んでいくような感覚。
「男同士だから浮気にならない」——そう言い訳して始まった関係は、俺の人生の全てを変えてしまった。
彼女を失い、「ノーマル」な人生を手放し、男のちんぽの虜になった。
でも——レンタの腕の中で目を覚ますあの瞬間が、俺の人生で一番幸せな時間だった。
俺はもう、二度と「浮気じゃない」なんて言い訳はしない。
これは浮気じゃなかった。
本気だった。最初から。