ルームメイトが毎晩「寝てるフリ」で俺に抱かれにくるようになった話【第1話・出来心】

家賃折半で大学時代の友人・ショウと暮らし始めて半年。彼女と電話する声を壁越しに聞きながら、俺はずっとこいつに惹かれている自分を隠してきた。ある夜、酔って寝落ちしたショウの寝顔につい手を伸ばしてしまった——起きないはずだった。でも、こいつは、起きていた。そして「俺、寝てるから」とだけ言って、すべてを受け入れた。

ルームメイトが毎晩「寝てるフリ」で俺に抱かれにくるようになった話【第1話・出来心】

ショウと一緒に暮らし始めて、半年が経っていた。

俺——ユウト(24歳・仮名)とショウ(24歳・仮名)は、大学のサークルで知り合った。お互い地方出身で、就職してからも東京で暮らすことになって、「家賃もったいないし、二人で借りねえ?」というショウの一言で、同居が始まった。

築古の2DK。壁が薄くて、隣の部屋の物音が筒抜けの、お世辞にも良いとは言えない部屋。それでも、家賃が折半になるのはありがたかったし、何より——俺にとっては、ショウと同じ屋根の下で暮らせることが、何よりの理由だった。

言っていなかったけど、俺はゲイだ。誰にもカミングアウトしていない。

そして、たぶん——いや、間違いなく、俺はショウに惹かれている。

ショウは、絵に描いたような体育会系だ。大学までずっとラグビーをやっていて、今でも筋肉質な体つき。背が高くて、声がでかくて、よく笑う。風呂上がり、タオル一枚で部屋をうろつくこいつの、汗ばんだ広い背中や、引き締まった尻を盗み見るたびに、俺は何度、自分の部屋でこっそり処理したかわからない。

女子からの人気も高くて、今も付き合って一年になる彼女がいる。

夜、自分の部屋にいると、薄い壁越しに、ショウが彼女と電話している声が聞こえてくる。

「ん、わかってるって。次の休み、ちゃんと空けとくから」

甘ったるい声。普段の俺の前では絶対に見せない、デレッとした声。 それを聞くたびに、俺の胸の奥が、ちりちりと焦げるように痛んだ。

(……何やってんだ、俺は)

こいつはノンケだ。彼女がいる。俺がどう思おうと、その壁は絶対に越えられない。 わかっている。わかっているから、俺はずっと、この気持ちを胸の奥に押し込めてきた。

その夜までは。


その日は、金曜日だった。

仕事終わりに、ショウと二人で飲みに行った。ショウが「彼女と喧嘩した」とかで、やたらと荒れていて、いつもよりずっとペースが速かった。

「ユウトォ……女ってさぁ、なんであんなに細けえことで怒るんだろうな……」

ろれつの回らない口調で愚痴をこぼすショウを、俺は半ば引きずるようにして家まで連れて帰った。肩を貸して階段を上がるとき、汗ばんだショウの体温と、汗と酒の混じった、むせ返るような男の匂いが、鼻先をかすめる。

それだけで、俺の心臓は、馬鹿みたいに高鳴っていた。

部屋に着くと、ショウはそのまま、リビングのソファにどさっと倒れ込んだ。

「ショウ、ちゃんとベッドで寝ろよ」

声をかけても、返事はない。もう、完全に寝落ちしている。

仕方なく、俺はショウの隣にしゃがみ込んで、その寝顔を覗き込んだ。

無防備な顔だった。 普段はうるさいくらいよく喋る口が、今は静かに半開きになって、規則正しい寝息を立てている。Tシャツの胸元がはだけて、鍛えられた胸板が、呼吸に合わせてゆっくりと上下している。喉仏、太い首筋、汗で湿った鎖骨。

(……ずるいよな、お前)

こんな顔を、彼女にも見せてるんだろうな。 そう思った瞬間、どす黒い感情が、胸の中で渦を巻いた。

気づけば、俺の手は、ショウの胸元に伸びていた。


そっと、指先で、ショウの胸に触れる。

汗ばんだ肌は、しっとりと熱かった。硬い胸筋の感触が、指の腹に伝わってくる。指先で、小さな乳首を、つん、と掠めると、ショウの眉が、かすかに動いた。それでも、起きない。

(少しだけ。本当に、少しだけだから)

自分に言い訳しながら、俺は指を、ゆっくりと下に滑らせていった。 割れた腹筋を、一段ずつなぞって、へその下の、薄い毛の生え際まで。

心臓が、痛いくらいに鳴っている。

(やめろ。これ以上は、最低だ)

頭の中では、まともな自分が必死で止めている。 でも、半年間ずっと我慢してきた何かが、もう、抑えきれなかった。

俺は、震える手で、ショウのスウェットのウエストに指をかけた。 ゆっくりと、下着ごと、引き下ろす。

現れたものを見て、俺は息を呑んだ。 寝ているはずなのに、ショウのそれは、もう半分以上、立ちあがっていた。太い幹に、くっきりと浮いた血管。普段の威勢のいいこいつそのものみたいな、立派なものだった。

(……酔ってるから、か)

そう思いながら、俺はそっと、それに手を添えた。 手のひらに伝わる、ずっしりとした重みと、火傷しそうなほどの熱。

ゆっくりと、根元から先端へ、しごき始める。 俺の手の中で、ショウのものは、みるみるうちに体積を増して、完全に天を向いた。先端の割れ目から、透明な雫が滲んで、亀頭をてらてらと光らせている。

「……っ」

ショウの口から、小さく息が漏れた。 俺はびくっとして、手を止める。

でも、ショウは、目を閉じたままだった。 寝息も、変わらない——ように、聞こえた。

(寝てる。大丈夫だ)

俺はもう一度、手を動かし始めた。今度は、もっと大胆に。先端の溝を親指で撫で回し、滲んだ先走りを、幹全体に塗り広げる。ぬち、ぬち、と、湿った音が、静かな部屋に響いた。

そして、引き寄せられるように、俺は、その先端に、顔を近づけていった。


口に含んだ瞬間、ショウの腰が、ぴくりと跳ねた。

汗と、男の匂い。生々しい、むせ返るようなそれが、鼻腔いっぱいに広がる。 俺は夢中で、舌を絡めた。半年分の想いを全部ぶつけるみたいに、必死で。

ショウのものは、俺の口の中で、痛いくらいに張り詰めていた。亀頭を舌で転がし、裏筋を舐め上げ、先端の溝を、ちろちろと舌先でくすぐる。先走りの、しょっぱくて青臭い味が、口いっぱいに広がっていく。

頭の芯が、痺れていた。 こんなことをしている自分が、最低なのはわかっている。寝ている友達に、こんな——。

でも、止められなかった。むしろ、咥えれば咥えるほど、もっと奥まで欲しくなる。俺は、喉の奥まで、ショウのものを、ずぶずぶと呑み込んだ。苦しさに涙が滲む。それでも、頭を前後に振って、じゅぷ、じゅぷ、と音を立てて、しゃぶり続けた。

どれくらい、そうしていただろう。 ふと、頭の上から、声が降ってきた。

「……ユウト」

心臓が、止まるかと思った。

がばっと顔を上げると、ショウが——目を、開けていた。 薄暗い部屋の中で、口を唾液で濡らした俺を、じっと、見下ろしている。

「しょ……ショウ、これ、違っ……これは……」

頭が真っ白になった。言い訳の言葉も出てこない。

最悪だ。終わった。友情も、同居も、全部——。

俺が青ざめて固まっていると、ショウは、しばらく黙っていた。 俺の口の中で、こいつのものは、まだ硬いまま、どくどくと脈打っている。

そして、ふいに、ぼそりと、こう言った。

「……酔ってて、よくわかんねえわ。俺、寝てるから」

そう言って、ショウは、片腕で目元を覆って、また顔を背けた。

俺は、その言葉の意味を、すぐには理解できなかった。

寝てる? 今、はっきり目を開けて、俺の名前を呼んだじゃないか。

でも、ショウは目元を隠したまま、もう何も言わない。 ただ——その腰だけが、わずかに、俺のほうへ突き出されていた。

まるで、「続けろ」とでも言うように。


その意味を悟った瞬間、俺の体の奥が、かっと熱くなった。

(こいつ……起きてる。起きてて、わざと、寝たフリしてる)

ショウのプライドが、許さないんだ。 「気持ちよかった」とも、「続けてくれ」とも、口が裂けても言えない。だから、「寝てる」ことにして、全部なかったことにして——その上で、受け入れようとしている。

ずるい。本当に、ずるい男だ。

でも、それでよかった。 今はそれで、十分すぎるくらいだった。

俺は、もう一度、ショウのものに、深く口をつけた。 さっきまでの遠慮は、もう要らなかった。ショウが感じる場所を探りながら、丁寧に、執拗に。亀頭の裏の、一番感じる筋を、舌先で集中的に責め立てる。同時に、空いた手で、重く垂れ下がった双玉を、やわやわと揉みしだいた。

「……っ、く……ぁ……」

ショウは、腕で目を覆ったまま、歯を食いしばって、声を殺していた。 それでも、漏れ出る荒い息と、時折びくつく太もも、そして、俺の口の中でさらに膨張していく硬さが、こいつが感じていることを、はっきりと教えてくれる。

俺は、わざと、じゅるるっ、と大きく音を立てて吸い上げた。

「っ、お前、それ……っ、汚ねえ音、立てんな……っ」

口とは裏腹に、ショウの腰は、もう自分から、俺の口を犯すみたいに、浅く突き上げ始めていた。額に汗を浮かべ、首筋を反らして。普段、彼女の話をして笑っているこいつが、今、俺の口の中で、こんなに余裕をなくして乱れている。その事実に、俺は、頭が焼き切れそうなほど興奮していた。

自分のものも、痛いくらいに張り詰めていた。俺は片手でそれをしごきながら、夢中でショウをしゃぶった。

「ユウト……っ、やべ、もう、出る……っ」

寝言にしては、はっきりしすぎた、切羽詰まった声。

俺は、抜かなかった。それどころか、最後の瞬間、根元まで深く咥え込んで、逃さないように、強く吸い上げた。

「……っ、ぐ……!」

ショウの体が、大きく、びくんっ、と跳ねた。 喉の奥に、どくっ、どくっ、と、熱くて濃いものが、何度も叩きつけられる。

俺は、それを——一滴残らず、全部、飲み込んだ。

口の中に広がる、青臭くて、苦くて、ショウそのものの味。 それを嚥下した瞬間、俺も、自分の手の中で、果てていた。

部屋に、二人分の荒い息だけが、響いていた。 ショウは、腕で顔を覆ったまま、肩で息をしている。その耳が、首筋まで、真っ赤に染まっているのが、薄闇の中でもはっきりとわかった。

俺は、ティッシュで口元を拭いながら、何も言えずにいた。 何か言えば、この奇妙な均衡が、壊れてしまう気がして。


翌朝。

俺がキッチンでコーヒーを淹れていると、寝室からショウが出てきた。

「うー……あたま痛ぇ。昨日、俺どうやって帰ってきたっけ」

いつも通りの、馬鹿みたいに明るい声。 まるで、昨日の夜のことなんて、何もなかったみたいに。

「……お前が潰れたから、俺が運んだんだろ」

「マジか。わりぃ、サンキューな」

ショウは、けらけら笑いながら、俺の淹れたコーヒーを奪って飲んだ。 その横顔は、本当に、何も覚えていないみたいだった。

(……夢だったのか?)

一瞬、そう思った。 でも、喉の奥に、まだかすかに残るあの味と、舌に焼きついた感触が、あれが現実だったことを、教えていた。

俺たちは、その日のことを、一度も話さなかった。 ショウはいつも通り、彼女の惚気を言い、くだらないテレビに大声でツッコみ、俺もいつも通りに振る舞った。

——その夜までは。

その夜、俺がベッドで眠ろうとしていると、部屋のドアが、そっと、軋んだ音を立てて開いた。

暗闇の中、誰かが、俺の布団に、もぞもぞと入ってくる。 汗と酒の匂い——いや、今日は酒の匂いはしない。シャワーを浴びたばかりの、石鹸の、清潔な匂い。

ショウだった。

こいつは、何も言わない。 目を閉じて、寝たフリをして、ただ黙って、俺の背中に、その大きな体を、ぴたりと押し付けてくる。汗ばんだ胸板の熱と、腰のあたりに当たる、もう兆し始めている、硬いものの感触。

俺は、息を呑んだ。

——わざわざ、シャワーを浴びてきた。 その意味を理解した瞬間、俺の中で、半年分の理性が、音を立てて崩れていった。

俺は、ゆっくりと、こいつのほうへ体を向ける。 暗闇の中、ショウは、固く目を閉じたまま。けれど、その手が、俺のパジャマの裾を、きゅっと、掴んでいた。

——こうして、俺とショウの、誰にも言えない夜が、始まった。

「寝てるフリ」さえしていれば、こいつは、どこまでも堕ちていける。 それを、俺は、この夜、知ってしまったのだ。

(第2話・へ続く)

#体育会系 #ノンケ#ルームシェア#同居人#寝たフリ#フェラ#手コキ
寝たフリの同居人 第1話 / 全1話 完結
全1話の目次を開く
  1. 第1話 ルームメイトが毎晩「寝てるフリ」で俺に抱かれにくるようになった話【第1話・出来心】(この話)