体育会系ノンケをくすぐり責めで腰を振らせて射精させた話
整体師の俺(35歳・ゲイ自認)と、新規予約の体育会系ノンケ会社員・28歳。トレーニング後の腰痛で来院した彼を施術ベッドにうつ伏せで固定し、筋膜リリースと称して脇腹・太腿の内側・陰嚢の裏まで羽根と指の腹で延々となで続ける。医学的な反応だと言い訳されながら勃起させられ、最後はうつ伏せのまま腰を施術台に擦り付けて射精。次回予約まで取らせる、建前免責の整体院くすぐり地獄。
午前九時。シャッターを上げ、施術室の照明をやわらかい暖色に絞る。アロマディフューザーにラベンダーとユーカリを四滴ずつ。今日も予約表は埋まっているが、十時半の枠だけ初診のマークがついていた。氏名欄に「藤村 涼介(28)」、備考に「ウェイトトレーニング後の腰痛、紹介」とある。
俺の名前は仮にツカサ。三十五歳、独身、整体院の院長。表向きはまっとうな国家資格持ちで、近所の主婦やデスクワーカーの腰を組み立て直して稼いでいる。だが裏側、というか、もう一段奥の俺は、若くて体の鍛えられたノンケが大の好物だ。施術ベッドにうつ伏せに固定された男ほど、見ていてアガる存在はない。
紹介で来る体育会系の腰痛は、こちらの「研究」素材としても最良である。彼らは整体を信じきっているし、痛みのある体を医療者に明け渡す覚悟ができている。今日のターゲットは、来てから決める。だがカルテに「ウェイト」「腰痛」とあるなら、八割は当たりだ。
十時二十八分。チャイムが二回鳴った。
「藤村さんですね。お待ちしておりました」
ドアの向こうに立っていたのは、想像より一回り大きい男だった。身長は百八十近く、肩幅は俺の二倍ある。グレーのスウェットの上から、僧帽筋と広背筋の盛り上がりが見て取れた。日焼けして、眉が太い。学生時代にラグビーをやっていて、社会人になってもジムに通い続けているタイプ。ノンケ独特の、隙のある立ち姿。
「すみません、こんなとこ来るの初めてで」 「大丈夫ですよ。問診表だけ書いてもらえますか」
椅子に座らせ、ボールペンを渡す。彼が項目を埋めている間、こちらは観察に徹する。ペンを握る指は太く、関節がごつい。爪は短く切られているが、清潔感がある。鎖骨の窪みに汗の粒が一つ。緊張しているのだ。
「腰、いつからですか」 「先週のスクワットで……二百キロ担いだ翌日から、立ち上がりで腰の左がピキッと」 「ああ、それは仙腸関節周りでしょうね。深部の筋膜が癒着してると、表面のマッサージじゃ取れないんですよ。今日、九十分コースで深部リリースまでやっておきましょうか」
「九十分も……いけますか」 「初診の方には推奨してます。料金は変わりません」
藤村はほっとした顔で頷いた。深部リリース。そんな術式は存在しない。俺が今日のために発明した造語である。だが医学風の単語を二つ重ねるだけで、ノンケは安心して服を脱ぐ。
施術室は六畳ほどの個室で、ドアには内鍵がある。中央の革張りの施術台、サイドテーブルにオイル類、ラックには各種ブラシ、ローラー、それから——一番下の引き出しに、用途を聞かれない限り出さない「補助具」が並んでいる。今日はそこから二つ抜き出した。やわらかい羽根の束。ダチョウの羽で作られた、メイク用より少し長い掃除筆。それと、ベルクロのベルト四本。
「藤村さん、Tシャツとスウェット、下着以外お脱ぎいただいて、うつ伏せでこのタオルケットの下に入ってください。腰をしっかり診たいので、ボクサーパンツも膝あたりまで下ろしておいてもらえると助かります」 「え、パンツも、ですか」 「お尻の上の筋肉まで触りますので。タオルケットでちゃんと隠れますし、見えない部分は触りませんから」
嘘ではない。見えない部分は、触らない。見える状態にしてから、触る。
カーテンを引き、廊下に出る。三十秒待って戻ると、藤村はうつ伏せで施術台に横たわっていた。タオルケットの下、腰の盛り上がりと、その下に押し込められた尻のラインが透けて見える。広背筋の翼が大きい。肩から腰にかけて、見事な逆三角形。
「では始めますね。途中、痛かったら遠慮なく言ってください」 「お願いします」
低い声。素直な体育会系の返事。俺の声帯が一段嬉しそうに震えるのを、ぐっと抑える。
最初の二十分は、本物の整体だった。
オイルを手のひらで温め、僧帽筋の縁から始める。母指で深く押し、筋繊維の方向に沿って流す。広背筋、脊柱起立筋、腰方形筋。藤村はときおり「うっ」と唸るが、痛気持ちいい範囲を超えないよう、こちらは細心の注意で圧をコントロールする。本気で腰を楽にしてやる。信頼は、こうして稼ぐ。
「めちゃくちゃ上手いっすね、先生」 「ありがとうございます。藤村さん、体作り込んでますね。背中の張り、現役のラガーマンみたいだ」 「学生んときラグビーで、今は会社の同期と週末ジムで……」 「いい筋肉だ。整え甲斐があります」
褒めてやる。男は、特に体育会系のノンケは、自分の体を褒められると無防備になる。会話のテンポを掴んだら、こちらの主導権が完成する。
二十分が経った頃、俺は声のトーンを一段専門家寄りに切り替えた。
「藤村さん。背中の左、腰のすぐ上のあたり、ここに筋膜の癒着があります。触ってみますね」
そう言って、人差し指の腹で、肋骨の一番下のあたりを、ごく軽く——なで上げた。
「うっ……ふっ、はっ」 「あ、すいません、くすぐったいですか」 「いや、なんか、ぞわっと」 「これ、筋膜が皮膚と癒着してる証拠なんです。普通の人はこういう触り方されても何も感じない。藤村さんはここの神経がガチガチに敏感になってる。リリースしときましょうね」
医学風の解説を三秒。藤村が「はあ」と返事をした瞬間、俺は次の一手に入った。
ラックから羽根の束を取った。ダチョウの羽。先端は綿毛のようにやわらかく、皮膚に触れたか触れていないかが本人にもわからない。
「これ、皮膚の表面感覚を整える筆です。ちょっと冷たいですが、我慢してくださいね」
タオルケットを腰までめくり下ろす。むき出しになった広い背中に、まず一筋、肩甲骨の下から腰のくぼみまで、羽根を滑らせた。
「……っ、ふ、ふっ」 「動かないで。動くと癒着が増えますから」
藤村は唇を噛んでいる。羽根の先端が脇腹に回ると、彼の体が大きく跳ねた。
「あっ、ちょ、先生、それ、めちゃくちゃ、くすぐっ」 「我慢してください。これは表面感覚の正常化です。くすぐったいのは、神経が過敏になってる証拠。三分続けると、慣れて感じなくなりますから」
科学的根拠はゼロである。だが本人は半信半疑のまま、ベルトに手首をかけられても、抵抗らしい抵抗をしなかった。
「動いちゃうみたいなので、ちょっと固定させてくださいね。手首と足首だけ。施術用なんで、安心してください」
ベルクロの音が四回、施術室に響いた。手首が施術台の縁に、足首がベッドの脚にそれぞれ固定された。藤村はうつ伏せのまま、もう自由に逃げられない体勢になった。
「これで動かずに済みますね」 「先生、なんか、これ、思ってたのと」 「九十分コースの後半、こうやって体を固定して深部の神経を整えるんですよ。標準メニューです」
嘘である。だが「標準」と言われると、ノンケは反論できなくなる。
ここから先は、施術ではなくなった。
羽根の束で脇腹を、ゆっくりと、上下に。指の腹で肋骨の隙間を一本ずつ。耳の裏、首筋、腋の下、二の腕の内側。藤村はうつ伏せで顔をシーツに押し付け、押し殺した笑いと喘ぎの中間のような声を漏らし続けた。
「ぐっ、ふ、ふふっ、はっ、先生、もう、これ、笑い、止まら、ふっ」 「笑っていいですよ。副交感神経が優位になると、深部の緊張が抜けやすくなる。これも治療の一環です」
副交感神経うんぬんは半分本当だが、ここでやっていることはただのくすぐり責めだ。皮膚の薄い部位を、彼の体が涙を流し始めるまで、ひたすら羽根でなで続ける。
オイルの匂いと、革の施術台がきしむ音と、彼の汗の塩気が、室内に層をなしていく。匂い。温度。音。三つの感覚で、藤村の自我は徐々に薄められていった。
太腿の裏に羽根を移すと、彼の声色が一段変わった。
「あっ、ま、待っ、それ、内側、内側はっ」 「内股のリンパも整えますね。ここは腰痛にすごく効くポイントなんで」
腿の内側、膝裏から鼠径部に向けて、羽根の先端をゆるやかに往復させる。藤村の腰がびくびく跳ね、施術台の上でうつ伏せのまま、無意識に下半身を擦り付ける動きが始まっていた。
俺は気づかないふりをして、もう一段奥に手を伸ばす。
タオルケットの下、ボクサーパンツが膝まで下げられた状態の、彼の尻のラインに沿って、羽根を内側へ。
「ふっ、せん、先生、それは、ちょっ」 「藤村さん、ここでね、自然な反応が出ることがあります。それは恥ずかしいことじゃないんですよ。神経が正常に働いてる証拠なので。気にしないでください」
——「自然な反応」。
この四文字は、整体師がノンケに使える最強の呪文の一つだ。これを先回りで宣言してしまえば、相手はもう、自分の勃起を否定する権利を失う。
タオルケットを完全にめくり上げた。
藤村のむき出しの尻は、想像どおり、よく鍛えられた半球が二つ。鼠径部の影に、すでに硬く立ち上がった陰茎の根本が、施術台の革に押し付けられているのが見えた。先端は本人の腹側にあって、ここからは見えない。だが、革のシートに滲んだ濡れた円が、何が起きているかを正直に語っていた。
「藤村さん、今、勃ってますね」 「ち、違っ、これは、その」 「言ったでしょう。自然な反応です。三十分以上、表面感覚を刺激し続けると、副交感神経の働きで充血が起きる。医学的な反応ですから、恥じる必要はないんです」
俺はとどめのように、もう一本、別のブラシを取り出した。先端だけがほんの少し硬い、化粧用の小筆。
「藤村さん、最後の仕上げで、会陰部の筋膜もリリースしますね。腰痛にすごく関係がある部位なので」
ベッドのサイドに回り、彼の脚の間に立つ。固定された足首の間から手を差し入れ、太腿の付け根の下、陰嚢のすぐ脇に、筆の先を当てた。
「あ、それっ、先生っ」 「動かないで。動くとくすぐったさが増しますから」
陰嚢の皺の一本一本に、筆の先端で軽く触れていく。皮膚の薄いその部分は、羽根よりも筆のほうがよく反応した。藤村の腰が浮き、施術台の革と腹の間で、彼自身が押しつぶされる形になる。彼が無意識に腰を擦り付けると、革のシートに先走りの濡れた跡が広がっていった。
「ふっ、ぐっ、せ、先生、もう、本当に、これっ」 「もう少しです。ここで一度ピークまで持っていくと、深部のこわばりが全部抜けるので」
ピーク。射精。だが「ピーク」と言い換えると、ノンケはそれが何を意味するか直視せずに済む。彼らに必要なのは、いつだって、言葉の上の言い訳だ。
筆の先端を、陰嚢の裏から会陰、そして勃起した陰茎の裏筋にあたる部位まで、施術台の革と腹の隙間に潜り込ませる形で、ゆっくりとなで上げた。
藤村の喉が、はっきりと、ひゅっと鳴った。
「あっ、あっ、先生、それ、それ、やめ、いやっ、出る、出ちゃう、出ちゃうっ」 「出していいですよ。腰の力を抜いて。施術台に擦り付けるようにして、自然な動きで」
——出していいですよ。
その一言で、藤村の腰の動きが変わった。否認していた動作が、許可された動作に変わった瞬間、彼の体は完全に整体師の指示に従う器官になった。
うつ伏せのまま、固定された手首と足首の範囲で、彼は腰を浅く深く前後させ始めた。施術台の革に、自分の濡れた先端を擦りつけ、押し付け、なすりつける。俺は彼の脇腹に羽根を、会陰に筆を当て続けたまま、その動きを見守った。
「ふっ、ふっ、はっ、はっ、く、出る、出る、出るっ」 「いいですよ、そのまま、深く息を吐いて」
短文の連打。彼の呼吸が乱れ、背中の僧帽筋が硬く盛り上がり、腰の筋肉が痙攣のように波打った。
そして——藤村は、施術台にうつ伏せのまま、固定された四肢の中央で、腰を一度大きく突き上げ、声を殺しきれずに、低い長い唸りを漏らした。
「うっ、ぐっ、はっ、ふっ、あ、ああ……」
革のシートと、彼の腹の間の、見えない隙間で、たっぷりとした白濁が広がっていく感触が、俺の指先にまで伝わってきた。匂いが立ちのぼる——汗、オイル、ラベンダー、それから、若い男の出したばかりのものの、生臭くて青い匂い。
俺は静かに筆を引き、羽根を置き、彼の背中に、もう一度、本物の整体師の手のひらをあてた。
「お疲れさまでした。すごくよく出ましたね。深部の緊張、全部抜けたと思います」
藤村は答えない。シーツに顔を埋めたまま、肩で大きく息をしている。耳の縁が真っ赤だった。
ベルトを順番に外していく。手首、足首。彼はしばらく動けなかった。俺は熱いタオルで彼の腰を拭き、施術台のシーツをそっと取り替えた。汚れた一枚は丸めて、無言で洗濯カゴに落とす。これも「処理」のうちだ。
「藤村さん、お水どうぞ」 「……すみません、なんか……」 「気にしないでください。九十分コースの後半は、ああいう反応が出る方、多いですから」
嘘である。今日が初めての射精誘導案件ではないが、九十分コースの「標準的な反応」というわけでもない。だが彼にとっては、整体院がそう言うのだから、それが標準なのだ。
「腰、軽くなりましたか」 「……はい、めちゃくちゃ。びっくりするくらい」
実際、深部はちゃんと整えてある。前半二十分の本物の施術は伊達ではない。彼は本物の効果と、後半の倒錯した記憶を、同じ施術として記憶することになる。それが一番、こちらにとって都合がいい。
会計のとき、彼の指はまだ少し震えていた。目はどこか落ち着かなげに泳いで、俺とは合わない。逃げるように財布を出す手元を見ながら、俺は穏やかに切り出した。
「藤村さん、腰の深層、いま緩んだばかりでまだ戻りやすい状態なんですよ。二週間後あたりに一度、メンテナンスに来てください」 「……あ、はい」 「同じ九十分コースで押さえておきますね」
彼は目を伏せたまま、小さく頷くだけだった。俺は予約表を開き、二週間後の同じ時間に、彼の名前を書き込んだ。藤村涼介、二十八歳、初診で一度射精まで誘導済み。次回は、別の筆と、別の羽根を用意しよう。会陰部の「筋膜リリース」を、もう少し奥まで、もう少し長く。
シャッターを下ろし、施術室のディフューザーにオイルを足す。明日もまた、誰かの体育会系が「腰痛で」と予約を入れてくる。整体院の表向きは、何も変わらない。ただこの個室の革のシートだけが、何があったかを、静かに、ずっと、覚えている。