フードデリバリーの配達員に毎回同じ奴が来るようになってからおかしくなった話
一人暮らしの大学生。深夜にフードデリバリーを頼むたびに、同じ配達員が来る。毎回ドアを開ける瞬間、心臓が跳ねるようになった。ある雨の夜、「中で休んでいきなよ」と言ってしまった俺は——あの夜から、デリバリーを頼む理由が完全に変わった。
深夜1時にフードデリバリーでハンバーガーを頼むのは、俺——ソウタ(20歳・仮名)の悪い習慣だった。
大学2年、一人暮らし。1Kの狭いアパートで、深夜にゲームしながらジャンクフードを食う。最悪の生活習慣だとわかっていても、やめられない。
最初は何も気にしていなかった。配達員なんて毎回違う人が来るし、ドアの前で商品を受け取って「ありがとうございます」で終わり。顔なんか覚えていない。
異変に気づいたのは、3週間目だった。
月曜の深夜1時にハンバーガーを頼んだ。ドアを開けたら、背の高い男が立っていた。
黒いキャップに、配達用の保温バッグ。マスクをしているから顔の上半分しか見えないけど、目が印象的だった。二重の大きな目。睫毛が長くて、目尻が少し下がっていて、優しそうな目。身長は180センチ近い。細身だけど、肩幅が広くて、半袖のTシャツから出ている腕は日焼けしていて、血管が浮き出ている。
「お届けものです」
低い、落ち着いた声。
「ありがとうございます」
それだけ。
水曜の深夜1時。またハンバーガーを頼んだ。ドアを開けたら——同じ男だった。
「お届けものです」
同じキャップ、同じ目、同じ声。
「あ——こないだも来てくれましたよね」
「ああ、そうでしたっけ。この辺り担当多いんで」
マスクの下で笑った気配がした。
金曜の深夜。また同じ男。
「また俺っすか。よく頼みますね」
「すんません、深夜のハンバーガー、中毒なんで」
「体に悪いっすよ」
今度は確実に笑っていた。目が細くなって、目尻の皺が見えた。
それから、俺は意識的に深夜のフードデリバリーを頼むようになった。
月・水・金の深夜1時。ハンバーガー、牛丼、ラーメン。メニューは何でもよかった。
目的は——あの配達員が来るかどうか。
名前は、配達員の評価画面から「リク」だとわかった。評価は星4.9。他の利用者からのコメントに「イケメン」「感じいい」という書き込みがあった。
5回目に来た時、リクがマスクを外していた。
息を呑んだ。
整った顔だった。彫りが深くて、鼻が高くて、唇が薄くて、顎のラインがシャープ。マスクの下はこんなに——かっこよかったのか。
「今日はマスクなしですね」
「暑くて。すんません」
「いや——全然。ありがとうございます」
ドアを閉めた後、心臓がバクバクしていた。
男だぞ。配達員だぞ。何でこんなに心臓が跳ねてるんだ。
俺は女が好きだ。元カノもいた。男に興味なんかないはず——なのに、リクの顔が頭から離れなかった。
2ヶ月目。
リクとの会話が、少しずつ長くなっていった。
「今日は何頼んだんですか」
「牛丼の特盛」
「深夜に特盛はやばいっすよ。太りますよ」
「うるせぇ」
笑い合う。30秒の会話。でも、この30秒のために1000円のデリバリーを頼んでいる。
ある水曜日。雨が降っていた。
土砂降り。深夜1時の豪雨。
普段なら頼まない天気だけど、ドアを開ける瞬間を想像して、注文ボタンを押した。
40分後。チャイムが鳴った。
ドアを開けたら、リクがずぶ濡れで立っていた。
キャップから水滴が垂れて、Tシャツが体に張り付いている。濡れたTシャツの下から、胸板と腹筋のラインがはっきり透けていた。鍛えているのは知っていたけど、ここまでとは思わなかった。肩から腕にかけて筋肉が盛り上がっていて、水滴がその曲線を伝って落ちていく。
「お届けものです……すんません、ちょっと濡れちゃいました」
「え——大丈夫? めちゃくちゃ濡れてるじゃん」
「雨やばくて。あと3件配達あるんすけど——」
「中で休んでいきなよ。タオル貸すから」
口が勝手に動いていた。
リクが一瞬だけ固まって——「……いいんすか?」と小さく言った。
「もちろん。風邪引くよ」
リクが部屋に入った。
狭い1Kの玄関に、ずぶ濡れの大きな男が立っている。水が床に滴り落ちて、小さな水たまりを作っていた。
「タオル持ってくるから。そこで待ってて」
バスタオルを持っていった。リクが頭をがしがし拭きながら、「ありがとうございます」と笑った。
濡れた髪が額に張り付いている。キャップを取ったリクの髪は短めの黒髪で、濡れると少しうねっていた。
「Tシャツ、着替えた方がいいんじゃない? 俺のでよければ——」
「マジすか? 助かります」
リクが目の前でTシャツを脱いだ。
動けなくなった。
鍛え上げた上半身が露出した。広い肩幅、厚い大胸筋、割れた腹筋、引き締まったウエスト。水滴が胸板の上を滑り落ちて、腹筋の溝を伝って、ジーンズのベルトラインに消えていく。
「……」
「ソウタくん? Tシャツ——」
「あ——うん。ちょっと待って」
慌ててクローゼットからTシャツを出して渡した。リクが袖を通す。俺のはMサイズだけど、リクにはきつかった。胸と肩のラインがぴちぴちに出ていて、逆にエロい。
「ありがとう。コーヒーとか——もらっていいですか?」
「もちろん」
インスタントコーヒーを入れて、二人で床に座った。
リクは配達の合間の休憩ということで、15分くらい話した。
「リクさんって、いつも深夜に配達してるの?」
「うん。昼間はジムでバイトしてて、夜はデリバリーで稼いでる。来年から専門学校行くための学費貯めてんだよね」
「何の専門?」
「整体。体触るの好きだから」
体触るの好き。
その言葉が、妙に引っかかった。
「ソウタくんは、毎回深夜に一人で飯食ってんの?」
「うん。一人暮らしだし」
「寂しくない?」
「……まあ、ちょっと」
「俺で良ければ、また休憩がてら寄るよ。この辺り配達多いし」
「来てくれるの?」
「ソウタくんが頼んでくれれば、配達で来れるじゃん」
リクが笑った。
その夜から、俺のフードデリバリーの注文頻度は毎日になった。
リクが俺の部屋で休憩するのが、日常になった。
配達の途中で寄って、15分〜30分。コーヒーを飲みながら話す。筋トレの話、音楽の話、将来の話。
リクは23歳だった。高卒でフリーター。ジムのバイトとデリバリーの掛け持ち。来年から整体の専門学校に行く予定。明るくて、優しくて、笑顔がいい。
——正直、自分でもよくわからなかった。
リクが来る日は、朝から落ち着かない。チャイムが鳴ると心臓が跳ねる。帰った後は、部屋に残った汗の匂いを、なんとなく嗅いでいる自分がいる。これが「好き」なのか? いや、相手は男だ。俺は女が好きだ。元カノもいた。男に色恋なんて、ありえない。
だから俺は、必死で理屈をつけていた。リクは話が面白いから。一人暮らしで寂しいから。ただ、それだけ。友達として気が合うだけだ——そう自分に言い聞かせるたびに、でも友達相手に心臓がこんなに跳ねるか? という問いが、いつも喉のあたりで引っかかった。
その「説明できない引力」の正体が、ごまかせなくなったのは、リクが俺の部屋でストレッチを始めた夜だった。
「配達で腰やっちゃってさ。ちょっとストレッチしていい?」
「いいよ」
リクが俺の狭い部屋の床で、ストレッチを始めた。
前屈。開脚。腰を捻るポーズ。ジーンズの上から尻の形がはっきり出ている。Tシャツの裾がめくれて、腹筋と腰骨が露出する。
俺はベッドの上でゲームしてるふりをしながら、リクの体を凝視していた。
リクが仰向けになって、両脚を胸に引き付けるストレッチをした。
「ソウタくん、ちょっと脚押してくれない? もう少し伸ばしたいんだけど」
「あ——うん」
ベッドから降りて、リクの隣に膝をついた。リクの両脚を上から押す。リクの顔が近い。汗の匂いがする。
「もうちょい——あ、そこ——気持ちいい——」
リクが目を閉じて、気持ちよさそうな顔をした。
その表情を見た瞬間、俺のスウェットの中で、ちんぽが反応した。
やばい。勃ってる。リクの前で。男の前で。
慌てて腰を引いたけど、リクが目を開けた。
リクの視線が——俺の股間に落ちた。
スウェットが、はっきりとテントを張っていた。
「……ソウタくん」
「ごめん——これは——」
「いいよ」
リクが体を起こした。
俺の目を真っ直ぐ見て、言った。
「俺、ゲイなんだよね。ソウタくんは——知ってた?」
「……え」
「たぶんわかってると思ってたけど。毎日デリバリー頼んでくれるの——俺に会いたいからでしょ?」
心臓が口から飛び出しそうだった。
「……バレてた?」
「初日から。ドアの前で俺の顔見る時、目がキラキラしてたから」
リクが笑った。優しい、いつもの笑顔。
「ソウタくんは、自分のことゲイだと思う?」
「……思わねぇよ。俺、女が好きだし。元カノもいたし」
口が、勝手に否定していた。それは本心だった。リクが相手でも、その事実だけは譲れない気がした。
「でも——わかんねぇんだよ。リクさん相手だと、なんか、体が勝手に——さっきも、見てたら、こうなって——自分でも意味わかんねぇんだって」
混乱で声が震えた。男に欲情するなんて、ありえない。なのに、現に股間はテントを張っている。その矛盾を、自分でうまく処理できなかった。
「……気持ち悪いだろ、こんなの」
「気持ち悪くないよ」
リクの手が、俺の頬に触れた。大きくて、温かい手。
「無理に名前つけなくていい。体が反応してるなら、それでいいじゃん。……触ってみる? 嫌だったら、すぐやめるから」
俺は、答えられなかった。頭では「やめろ」と言っている。男同士だ、おかしい、と。でも、リクの手の温度から、逃げたいとは思えなかった。
迷っているうちに、リクが顔を近づけてきた。キスされる、と思った瞬間、俺は反射的に顔を背けていた。
「……っ、それは——口は、なんか、無理かも」
自分でも驚くくらい、はっきり拒んでいた。体は反応するくせに、唇を重ねることだけは、どうしても生理的に受け付けなかった。一線を越える、という感覚が、そこにだけ濃く残っていた。
「ごめん。わかった、しない」
リクはあっさり引いて、苦笑した。
「じゃあ、こっちだけ」
キスの代わりに、リクの手がスウェットの中に入ってきた。勃起したちんぽを、直接握られた。
「っ——!」
「硬いね。相当我慢してたでしょ」
「毎日——リクさんのこと考えて——」
「毎日考えてくれてたの? 嬉しい」
リクの手が、ゆっくりと俺のちんぽを扱き始めた。ローションなんかなくても、先走りがじゅわっと溢れ出て、リクの掌をぬるぬるにしていた。
「気持ちいい?」
「気持ちいい——リクさんの手——でかくて——」
「もっと気持ちよくしてあげる」
リクが俺のスウェットとパンツを足首まで下ろして、ちんぽの前に顔を持っていった。
舌先で亀頭をぺろっと舐めた。
「ひっ——」
「かわいい声出すね」
リクが口を開けて、俺のちんぽを咥えた。
「あぁっ——!」
温かい。濡れている。リクの舌が裏筋を舐め上げながら、唇でカリを締め付ける。ゆっくりと前後に動いて、俺のちんぽを丁寧にしゃぶってくれた。
「リクさん——上手い——すごい——」
「たくさん練習したからね」
リクが口を離して笑った。唾液の糸が光って切れる。
「ソウタくん、俺のも——触ってみたい?」
「……触りたい」
リクがジーンズのボタンを外した。チャックを下ろして、ボクサーパンツの中から——でかいちんぽが飛び出した。
太い。長い。俺のより明らかに大きくて、血管が浮き出ていて、亀頭が赤黒く充血している。
「でか……」
「大きい方?」
「めちゃくちゃでかい」
俺はおそるおそる手を伸ばして、リクのちんぽを握った。熱い。脈打ってる。手のひらに収まりきらない太さ。
「ん——ソウタくんの手、冷たくて気持ちいい」
俺がぎこちなくリクのちんぽを扱いている間、リクは俺のちんぽをしゃぶり続けていた。69の体勢。
リクの股間が俺の顔の目の前にある。ちんぽの匂い。男の匂い。配達で汗をかいた後の、少し酸っぱくて、でも不快じゃない匂い。
勇気を出して——舌を伸ばした。
亀頭の先端をちろっと舐めた。
「っ……ソウタくん、舐めてくれるの?」
「……うん」
口を開けた。リクの亀頭を唇で包み込んだ。
でかい。口がいっぱいになる。顎が痛いくらい。でも、リクの体温が口の中に伝わってきて——嫌じゃなかった。
俺たちは床の上で69をしながら、お互いのちんぽをしゃぶり合った。
「ソウタくん——上手だよ——初めてなのに——」
「んぐっ……」
リクの手が、俺のもっと奥——尻の狭間に伸びてきた。指先が、窄まりの入り口をくるくると撫でる。
「ここ、触ってみていい?」
「……え、そこは——」
反射的に体が強張った。そこは排泄する場所だ。性的な場所だなんて、考えたこともない。
「ちょっとだけ。嫌だったらすぐやめる」
唾液をたっぷりつけたリクの指が、ゆっくりと、入り口を押した。最初は固く閉じていたそこが、何度も撫でられるうちに、ほんの少しだけ緩む。指先が、第一関節くらいまで沈んだ。
「ぅ——っ、変な感じ……」
異物感。圧迫感。気持ちいいなんて、まったく思えない。腹の奥が重くなって、便意のような、なんとも言えない違和感がせり上がってくる。
「痛い?」
「痛くは……ないけど。なんか、無理やり入れられてるみたいで……落ち着かねぇ」
「だよね。最初はみんなそう。——ここに、男が気持ちよくなる場所があるんだけど」
リクの指が、内側の腹側を探るように、そっと曲がった。
くにっ、と、何かに触れた。
「……ん?」
正直、よくわからなかった。腰の奥のあたりが、むずむずする。痺れるような、痒いような、はっきりしない感覚。「爆発する」みたいな、そんな大層なものじゃない。ただ、嫌ではない——その程度の、曖昧な何か。
「どう?」
「……わかんねぇ。なんか、むずむずする。気持ちいいのか、気持ち悪いのか、よくわかんねぇ……」
「うん。最初はそんなもん。すぐにはわかんないよ。焦らなくていい」
リクは、それ以上奥に進めようとはしなかった。指をゆっくり抜いて、代わりに、俺のちんぽをまた握り直す。
「今日は、こっちでイこ。慣れてない場所、無理させたくないし」
正直、ホッとした。後ろの違和感より、握られたちんぽの快感の方が、ずっと馴染みがあって、安心できた。リクの手が、先走りでぬるぬるになった俺のものを、的確に扱き上げる。
「あ……っ、リクさん、それ——」
「いいよ、出して」
慣れた快感が、一気に高まった。俺は、リクの手の中で、あっけなく果てた。びゅっ、びゅっ、と精液がリクの手と自分の腹を汚す。
「いっぱい出たね」
リクが笑った。
息を整えながら、俺は天井を見上げていた。男に手でイかされた。男のちんぽを舐めた。尻に指まで入れられた。——なのに、不思議と、後悔みたいな感情は湧いてこない。ただ、頭の隅で「俺、どうなっちまうんだ」という、漠然とした不安だけが、ちりちりと燻っていた。
事後、二人で狭い床に座って、ぬるくなったコーヒーを飲んだ。
「……俺、毎日1000円のデリバリー頼んでたの、リクさんに会うためだった」
「知ってたよ」
「月3万の出費——」
「やめなよそれ。これからは俺が直接来るから。配達じゃなくて」
「……いいの?」
「ソウタくんに会いたいのは、俺も同じだから」
リクが、俺の頭をくしゃっと撫でた。
その日から、俺はフードデリバリーを頼まなくなった。代わりに、リクが配達の合間に、ほぼ毎晩うちに寄るようになった。
そこからは、ゆっくりだった。
リクは、焦らなかった。来るたびに少しずつ。手でイかせ合って、口でしてもらって。後ろに指を入れられるのも、回を重ねるごとに、だんだん「当たり前」になっていった。
最初はあんなに違和感しかなかったのに——三回目、四回目と続けるうちに、あのむずむずが、少しずつ、はっきりした「何か」に変わっていった。
ある夜、リクの指があの場所を撫でたとき、ふいに、ぞくっと腰が震えた。
「……っ、今の、なに」
「気持ちよかった?」
「……わかんねぇ。でも、さっきまでと、違った……」
「うん。体が、覚えてきてる」
体が、覚えてきてる。 その言葉が、怖かった。俺は女が好きなはずだ。元カノだっていた。なのに、自分の体が、男の指に、勝手に開かれていく。そのことに、ゾッとするのに——リクが来ない夜は、なぜか、あの感覚を思い出して、一人で後ろを触ってしまう自分がいた。
二週間、三週間。 リクの指は、二本に増えた。撫でられる場所が、はっきりと甘く疼くようになった。前を触られなくても、後ろをいじられるだけで、ちんぽが勝手に勃つようになった。
俺の体は、確実に、変えられていた。
リクのを「入れてみよう」という話になったのは、最初の夜から、もう一か月近く経った頃だった。
「ソウタくんがいいって思えたら、でいいよ。無理だったら、指のままでも全然いい」
俺は——頷いた。怖かった。でも、あれだけ指で気持ちよくされて、その先にもっとすごいものがあると言われたら、知りたくなってしまっていた。
リクがコンドームをつけて、ローション代わりの唾液とジェルをたっぷり塗って、俺の脚を持ち上げた。太い亀頭が、窄まりに押し当てられる。
「息、吐いて。ゆっくりな」
「ふぅ……」
ずぶ……っ。
「ぁぐっ——!! いっ——痛ぇ——!」
指とは、まるで違った。引き裂かれるような圧迫感。亀頭の一番太い部分が、入り口をこじ開けてくる。涙が滲んだ。
「無理——でか——っ、止めて——」
「うん、止まる。大丈夫、ここで止まるから」
リクは無理に進めなかった。亀頭だけを呑み込ませた状態で、何度も深呼吸させて、俺の体が緩むのを、辛抱強く待ってくれた。一度抜いて、また唾液を足して。何度も、何度も。
どれくらいそうしていただろう。ようやく、痛みの底に、あの「覚えのある疼き」が、じわりと混じり始めた。
「……っ、なんか……来た……」
「そこだよ。もう少しだけ、いい?」
「……うん……ゆっくり……」
ずず、と、リクのものが、さらに奥へ進んだ。さっきまで激痛だったのに、あの場所をぐっと押し上げられた瞬間——
「あ……っ、そこ——指の時の——」
腰の奥から、これまでの比じゃない、太くて深い快感が、ゆっくりと広がっていく。痛みと、それが、ぐちゃぐちゃに混ざり合っている。
「気持ちいい?」
「……わかんねぇ……痛ぇのに……なんか……やべぇ……」
リクは、激しくは動かなかった。俺の表情を確かめながら、ごく浅く、ゆっくりと、あの場所を擦るように腰を使った。
「あ……っ、あ……リクさん……」
その夜、俺はイけなかった。痛みと快感が混ざりすぎて、頭が追いつかなかった。それでも、リクのものを最後まで受け入れて、奥でゴム越しに果てるリクの脈動を、確かに感じた。
終わった後、リクは俺をずっと撫でていた。
「初めてにしては、頑張ったよ」
「……まだ、よくわかんねぇ。痛かったし」
「うん。これから、ゆっくり覚えてけばいいよ。何回でも、付き合うから」
俺は、リクの胸に顔を埋めた。 この先、自分がどうなっていくのか、まだ全然わからない。女が好きだという気持ちも、消えたわけじゃない。ただ——リクの体温の中にいると、その「わからなさ」ごと、ここにいてもいい気がした。
その日から、リクは配達じゃなく、俺に会うためにうちへ来るようになった。
俺の狭いベッドで、二人で眠る夜が、少しずつ増えていった。