【リーマン体験談】消灯後の夜行バスで、隣のスーツの男と毛布の下で握り合った話
深夜1時半発の高速バス最後列。隣に座った27〜8歳のスーツのリーマンと、消灯後の薄暗がりで膝が触れたまま動けなくなる夜。毛布の下で交わされる無言の合意、ファスナーを静かに下ろす音、互いの根元を握り合うねっとりした指——「声、出すな」と耳元で囁かれて喉だけで悶えた一晩を綴る、夜行バスでの一期一会リーマン体験談。
終電に乗り遅れたのは、俺が悪かった。
飲み会が長引いて、新宿を出たのが深夜一時を過ぎていた。最終の電車はとっくになく、タクシーには乗りたくなかった。駅のコンコースに貼ってあった深夜バスの案内を見て、チケットを買った。
バスは深夜一時半発。乗客は半分も埋まっていなかった。
二人掛けのシートに一人で座ろうとしたら、すでに窓側に男が座っていた。
スーツ姿で、二十七、八歳くらいだろうか。短い黒髪で、顔立ちが整っている。疲れた顔をしていたが、目だけが鋭かった。俺が隣に座っても、こちらを見なかった。
バスが動き出した。車内の照明が落ちた。
消灯して一時間ほど、俺はウトウトしていた。
バスが揺れる。左右に体が揺れる。隣の男との肩の距離が狭い。混んでいないのに二人が同じ席になったのは、他の席を全部荷物で埋めた乗客が多かったからで、移動しようとも思ったが眠さが勝った。
気づいたとき、隣の男の膝が俺の膝に当たっていた。
揺れのせいかと思った。
でも数分経っても、その接触は消えなかった。
俺は動かなかった。
暗闘の中で、じっとしていた。隣の男の体温が、薄いスラックス越しに伝わってくる。
男の膝が、ほんの少し、もう一度動いた。
明確な接触だった。揺れとは違う、意図のある動きだった。
俺も膝を少しだけ、相手の方へ傾けた。
沈黙が続いた。男が視線をこちらに向けた気配がした。暗くてよく見えないが、目が合った気がした。どちらも何も言わなかった。
男の手が、ゆっくりと俺の膝の上に置かれた。
毛布が膝にかかっていた。
その下で、男の手が動いた。
確かめるような、訊ねるような触れ方だった。まだいいか、という問いかけ。俺は毛布の端を少し持ち上げて、相手の手を受け入れた。それが答えだった。
男の手が、太ももの内側へゆっくりと移動した。
あたりに人はいない。音が立たない限り、誰にもわからない。ただバスが走る振動と、エンジン音だけが続いている。
太ももを撫でられながら、俺もゆっくりと手を男の方へ伸ばした。スラックス越しに、男の太ももに触れる。男が微かに息を吐いた。
男の指が、俺のベルトのあたりへ移動した。
押し当てるような触れ方。確認するような。
俺はゆっくりと腰を少し動かした。それが答えだった。
男の指が、ファスナーのタブを探した。静かに、音を立てずに下ろした。布地の間に指を入れて、直接触れた。
「っ……」
喉の奥だけで声を殺した。隣の席の男が、暗闘の中でこちらを向いているのが気配でわかった。
既に完全に硬くなっていた。男の指が、形を確かめるように動く。根元から先端まで、ゆっくりと。親指の腹で先端を一度だけ押した。
俺の腰が反射的に浮きかけた。
座っているまま、体を固めて、声を殺した。
男が、俺の手を取った。スラックスの外側から自分の股間に当てた。
固い。すでに限界まで硬くなっている。俺はファスナーをゆっくりと探して、静かに下ろした。
毛布の下、薄暗いバスの座席で、二人の手が密やかに、しかし貪欲に動き続けていた。
音は一切立てない。声も漏らさない。ただ、バスの規則的な揺れに合わせて、互いの熱い肉棒を包み込むように、ねっとりと、執拗に刺激し合う。
男の手は、驚くほど巧みだった。根元をしっかりと、熱く締め付けるように握り込み、親指の腹で裏筋の敏感な一本を、一定のリズムでゆっくりと擦り上げる。力加減が絶妙で、まるで俺の体を熟知しているかのような動き。時折、皮を優しく引き伸ばし、先端のぬるりとした先走りを塗り広げながら、容赦なく快楽を搾り取ってくる。
俺も負けじと、相手の太く脈打つ肉棒を掌で包み、形と熱さを確かめながら、丁寧に、しかし淫らに扱き続けた。指先でカリの裏をくすぐるように撫で、時折、根元を強く締め上げては、ゆっくりと上下に滑らせる。互いの手の動きが重なり合い、毛布の下で生温かい汗と先走りが混じり、ぬちゃぬちゃと湿った音だけが、かすかに響く。
やがて、男が顔を寄せてきた。熱い息が耳たぶに触れる。
「……声、出すな」
低い、ほとんど息だけの囁きが、俺の鼓膜を震わせた。
「……わかってる」
「もう少しで着く」
「……間に合うか」
「間に合わせる」
その言葉と同時に、男の手が一気に速くなった。力を強く込めながら、皮を大きく往復させ、親指で先端を執拗に刺激する。バスの揺れが加わって、まるで腰全体に体重を乗せられているような圧迫感。座席に押しつけられた体は逃げ場を失い、ただ快楽の波に飲み込まれていく。
「……っ、」
俺は唇を強く噛み、喉の奥だけで息を詰めた。音を殺したまま、腰の奥底から熱く濃厚なものが、どくんと押し上がってくる。
毛布を両手で強く握りしめながら、男の手のひらを熱い精液でびしょびしょに濡らした。何度も、何度も、痙攣するように脈打ち、大量に溢れ出す。男は手を止めない。最後の一滴まで、優しく、しかし容赦なく搾り取るように扱き続け、余韻の震えまで丁寧に追いかけてくる。
俺も同じように、相手の肉棒を最後まで包み込み、激しく脈打つ射精を、掌全体で受け止めた。熱く粘つく精液が指の間を伝い、毛布の下で二人だけの淫らな証を残していく。
バスのエンジン音だけが、静かに二人を包み込んでいた。
バスがサービスエリアで停車した。
照明が少し戻った。男は毛布を片付けて、窓の方を向いた。俺も正面を向いた。
他の乗客の数人が起き上がって、トイレへ向かった。
男がシートをリクライニングに戻して、静かに目を閉じた。
「……終点で降りるか」
声が、またほとんど息だけだった。
「降りる」
「そうか」
「お前は?」
「降りる」
「同じ方向か」
「さあ」
それで終わりだった。
終点でバスが止まって、乗客が次々と降りた。男も先に立ち上がって、荷物を取って、俺を一切見ずに前の方へ歩いた。
俺も立ち上がって、毛布を元の場所に戻した。
バスを降りて、ターミナルに出た。男の後ろ姿が改札の方へ消えていくのが見えた。一度も振り返らなかった。
名前も知らない、顔もはっきり見ていない男と過ごした深夜バスの一時間。
翌日、仕事の帰りに乗った地下鉄で、隣に座ったスーツの男の膝が少し隣に傾いた。
俺はその瞬間だけ、あの夜のことを思い出した。
作中の用語・隠語の意味は ゲイ用語辞典 で解説しています。